札幌の学童保育所わいせつ被害 再発防止へ対策急務、事件後も市の動き鈍く

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 共働き家庭の増加などにより、札幌市内でも、
学童保育の拡充を求める保護者が増加している。
半面、学童保育中の児童が性的な被害に遭うなど、
民間が運営する施設では、行政の指導・監督が行き届きにくいのが実情。
安心して子どもを預けられる体制づくりが課題となっているが、市などの動きは鈍い。

 札幌地裁で14日、学童保育で預かった女児2人にわいせつな行為をしたとして、
強制わいせつ罪に問われた札幌市内の
民間学童保育所の指導員だった30代の男に対して、
懲役2年6カ月(求刑懲役3年6カ月)の判決が言い渡された。

 だが、被害は氷山の一角にすぎない。
子どもに対する性犯罪は、子ども自身が被害に遭ったことを
すぐには認識できないことが少なくない上、
保護者が被害に気付いても警察などへの通報をためらう例もあるためだ。
実際、検察の論告では、他に複数の被害児童がいると指摘された。

 市が児童会館などで子どもを預かる児童クラブの利用者は年々増加している。
今年4月末時点の登録者数は1万2千人で、
10年前の1・9倍に上る。民間学童保育所の登録者数も1400人で、
同1・2倍になっている。

 事件が明るみに出たことを受け、
市の補助金を学童保育所に交付する市児童育成会運営委員会は、
再発防止策として研修の強化を打ち出した。
だが、研修参加は任意で、10月に行われた定例研修会に参加した指導員は、
190人のうち約半数にとどまった。再発防止策が周知されたとは言い難い。

 一方、市は事件後に具体的な対策を講じていない。
理由について、市子ども未来局は「学童保育を運営しているのは民間団体で、
市には直接指導する権限がない。保育の質の確保にまで口を挟めない」としている。

 中央区の民間学童保育所に女児2人を預ける30代の母親は
「市と運営委員会は事件の原因を究明し、保護者にきちんと説明するべきだ。
このままでは安心して預けられない」と不安を訴える。

 同様の事件が起きた函館市では4月に、児童が職員と二人きりにならない、
やむを得ず二人きりになる場合は児童と
同性の指導員が対応するよう全施設に通知した。

 横浜市では、男児に性的いたずらをした疑いで逮捕された指導員が、
その後、別の学童施設で働いていることが判明。
このため同市は昨年10月から、指導員の採用時に誓約書の提出を求め、
わいせつな行為で処分を受けたことがないことを確認している。

 札幌市学童保育連絡協議会の柴田田鶴子会長は、
「学童保育に預ける必要がある保護者が増えている現状をきちんと認識した上で、
再発防止のため市と運営委員会が協力して
指導、監督する必要がある」と指摘している。(片山由紀)
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