子供の事故:小児科医らNPO設立 再発防止へ事例分析


毎日新聞
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 遊具でのけがや窓からの転落など、
子供の「不慮の事故」情報を広く集め再発防止策を検討する
NPO法人「Safe Kids Japan」(セーフ・キッズ・ジャパン、山中龍宏理事長)が
小児科医らによって設立された。
設立記念集会を15日に東京都内で開く。1〜19歳の死因トップである
「不慮の事故」について分析し、
「予防できるけがや死亡事故から子供を守りたい」として今後、活動を本格化させる。

 理事長の山中さんは横浜市内の小児科医で、
独立行政法人「産業技術総合研究所」(産総研)で
傷害予防工学研究チームに参加する他、
日本小児科学会などで子供の事故防止に取り組む。
同NPOには事務局を置く国立成育医療研究センターや産総研も協力する。

 山中さんによると、1〜19歳の死亡原因は1960年代から「不慮の事故」が最も多く、
2013年は600人を超え「自殺」や「がん」などを上回った。

 事故情報全体でみると、例えば「交通事故」は、
警察が事例を収集して再発防止に向け分析するケースもある。
しかし、「遊んでいて遊具でけがをした」「窓から転落した」
「誤って薬をのみ込んだ」などの場合では情報が一元的に集まらず、
体系的に分析して予防策を提言する体制は整っていない。
消費者庁も、こうした事故情報を集めるが、
これまでは報告義務のある関係省庁や自治体から
ほとんど情報が寄せられなかったのが実態だ。

 同NPOは、まずは国内の医療機関などから重傷や死亡の事故情報を収集、
分析して傷害や死亡例の頻度、対策を取るべき具体的な内容を明らかにすることや、
行政に協力して安全基準を見直すことなどに取り組む方針だ。
米国では1988年に同様のNPOができて
事故情報の収集や予防で実績を上げていることから、参考にする。

 山中さんは「注意喚起だけでは事故は減らない。
体系的に事故を分析し、行政や企業の現場にフィードバックして
子供が安全に暮らせる環境を作っていきたい」と話している。
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