虐待:児童相談所の調査権強化や手続き緩和検討 厚労省

毎日新聞
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 相次ぐ虐待被害を受け、厚生労働省は、
児童相談所(児相)の調査権を強化するなど虐待対応を見直す方針を固めた。
近隣住民などから情報を得た児相が子供の安全確認などを行う際、
照会を受ける自治体側に原則、回答義務があることを明確にし、
虐待が疑われる家庭への緊急の強制立ち入り調査(臨検)を巡り、
状況に応じて親への出頭要求などを裁判所への許可状請求の条件から外すなど
手続きの緩和を検討する。

 同省は28日の専門委員会に示す虐待防止対策のまとめ案に盛り込んだ上で
現場の意思を踏まえ、具体策を詰める方針。
市町村ごとに関係機関で作る「要保護児童対策地域協議会」(要対協)の
事務局に専門職員の配置を促す方策や、虐待リスクのある妊婦の支援拡充も打ち出す。

 児相は、情報提供を受けて原則48時間以内に行うとされる安全確認などで、
子供の特定や現況把握のため、住民登録や乳幼児健診、
保育所利用などの公的情報を照会することが多い。

 しかし児童虐待防止法は、自治体は児相に
「(情報を)提供することができる」としているため、
「個人情報保護などを理由にすぐ回答を得られるとは限らない」(東京都内の児相所長)
といった現状があり、調査権や応諾義務を明記すべきだとの指摘が出ていた。
民間病院など照会対象を民間に広げることも課題とする。

 また、臨検は、任意の立ち入り調査や2度の出頭要求に
親が応じないことが裁判所への許可状請求の要件となっている。
そのため虐待を疑う根拠や親とのやりとりなど多くの資料を提出する必要があり、
昨年度までの6年間で実施は7例にとどまっており、手続き緩和を検討する。【野倉恵】
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