【静岡】県、妊娠相談窓口開設2年 相談628件

中日新聞
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◆1日平均3件、乳児虐待予防にも力

 静岡県の妊娠相談窓口「しずおか妊娠SOS」が開設された
二〇一二年十月から今年九月末までの二年間に、
望まない妊娠などの相談が六百二十八件あった。
一日平均三件(窓口は週二日開設)のペースで、悩みを抱える女性は多い。
近年、県内では生後間もない赤ちゃんが捨てられる死体遺棄事件が相次ぎ、
県などは相談窓口の普及など虐待の予防に力を入れている。

 妊娠SOSは、助産師や保健師が毎週水曜と土曜の午後一~五時に
電話などで相談を受けている。
内訳は電話二百六十一件、メール三百六十七件。
相談者は八割以上が当事者で年齢層は十~二十代が多く、全体の三割が学生だった。
内容は望まない妊娠、中絶、父親の不在などだった。

 「孤立して不安。この先どうすればいいのか」。
県こども家庭課によると、三十代の未婚女性は妊娠したが、
金銭的な理由で病院を受診できていないと相談。
二十代の未婚女性は「人工妊娠中絶をしたいが費用がない」と打ち明けた。
パートナーの男性から「一人で産み育てろ」と言われたという。

 相談窓口が開かれている一方で、乳児の死体遺棄事件は相次いだ。
五月、沼津市の海岸に生まれて間もない女児の遺体を捨てたとして
富士市の無職の女(20)が逮捕された。
十、十一月には下田市の飲食店アルバイトの女(28)が
自ら産んだ乳児二人を殺害、放置したとして逮捕された。
いずれも経済的な要因や社会での孤立が原因とみられる。

 一三年度に県内の児童相談所に寄せられた虐待の相談件数は
千七百二十五件で、十年前の三倍以上に右肩上がりで増加。
六歳未満の乳幼児に関する相談が全体の四割を超え、
三歳未満では死亡など重篤な結果を招く身体的虐待が多い傾向がある。

 相次ぐ事件などを受け、県は十月下旬、児童虐待防止に取り組む対策部会を開いた。
県産婦人科医会や県看護協会などを初めて招いて
関係機関を十八団体に増やし、連携強化や相談窓口の周知徹底を要請した。

 県こども家庭課の担当者は「相談窓口の周知はまだ十分とは言えず、
さらにPRする必要がある」と課題を話す。
「やむを得ず自分で育てられない場合、乳児院や里親制度もある。
子どもの命を守るのが最優先なので、まずは相談してほしい」と呼び掛けている。
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