妊娠降格、承諾ないと違法…最高裁が初判断

YOMIURI ONLINE
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 妊娠により降格させられたのは男女雇用機会均等法が禁じた
「マタニティー・ハラスメント」に当たるとして、
広島市の女性が元勤務先に約175万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が
23日、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)であった。

 同小法廷は「本人が降格を承諾したか、雇用主に降格が必要な特段の事情がない限り、
降格は違法」との初判断を示し、原告敗訴の2審判決を破棄。降格は女性の意向に反し、
降格の必要性について審理が不十分だとして、広島高裁に審理を差し戻した。

 裁判官5人全員一致の意見。妊娠・出産に伴う異動を契機にした降格を
原則として禁じる判断で、最高裁が雇用主側に「働く女性」への配慮を強く促した形だ。

 女性は理学療法士として1994年から元勤務先の病院で働き、
2004年に副主任に昇格。
08年に妊娠し、希望により業務負担の軽い部署へ異動したが、
異動先で「既に主任がおり、他に管理職は必要ない」として副主任職を解かれた。

 判決はまず、「妊娠中の負担の軽い業務への異動などを契機に降格させるのは、
均等法の禁じる不利益な取り扱いに当たる」との原則を提示。
一方で、〈1〉女性の承諾〈2〉雇用主側の特段の事情――のどちらかがある場合には、
例外的に降格は許されるとした。

 その上で、今回の降格は女性の職場復帰後の再昇格を予定したものではないのに、
病院側は十分な説明をしなかったとして、
「女性が自由意思で承諾したとはいえない」と指摘。
降格が必要な特段の事情についても、
「主任に加えて副主任を置くと業務上の支障が生じるのかどうかが明らかではない」
と疑問視した。

 そして、今回の降格は基本的に均等法に違反するとの前提に立ち、
念のため審理を尽くすべきだとした。
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