妊娠や出産望む若い乳がん患者を支援 厚労省研究班が初の手引書

産経ニュース
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 将来の妊娠や出産を望む若い乳がん患者の支援を目指し、
厚生労働省研究班(代表=清水千佳子・国立がん研究センター中央病院医師)が
このほど、抗がん剤の影響や、生殖補助医療の利用などについて解説した
初めての診療指針「乳がん患者の妊娠出産と生殖医療に関する診療の手引き」を作成した。

 国内では年間約6万人が乳がんになるが、
このうち40歳未満の若い世代が約4千人に上り、増加傾向にある。
近年の晩婚化や晩産化と相まって、乳がんの治療が妊娠や
出産の希望時期と重なることが問題化している。
例えば、抗がん剤は卵巣の機能にダメージを与え不妊を招くことが少なくない。
ホルモン療法は薬の内服期間が5~10年の長期に及び、
妊娠時機を逸することがある。

 しかし現状は、こうした情報が十分に患者に伝えられているとは言い難く、
がんを治療する乳腺専門医と、妊娠や出産に関わる
生殖医療専門医の連携も不足している。

 診療の手引は、患者が子供を望んでいる場合の乳がん治療の選択肢や、
受精卵や未受精卵の凍結保存といった生殖補助医療の利用について詳しく解説し、
それぞれ推奨の度合いを示した。
医師や医療スタッフは、手引に基づいて患者に情報を提供し、
対話し、患者自身が適切に意思決定できるように支援する。

 手引は、医学専門書を手掛ける金原出版から刊行された。
B5判138ページ、3456円。

 研究班は患者向け冊子「乳がん治療にあたり将来の出産をご希望の患者さんへ」も作成、
NPO法人「日本がん・生殖医療研究会」のホームページで公開している。
無料でダウンロードできる。
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