全国学力テスト 14教委が市町村別成績公表 都道府県調査

神戸新聞
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 2014年度の全国学力テストから47都道府県教育委員会が
市町村別の成績を公表できるようになったことを受け、
30%に当たる14教委が公表することが9日、文部科学省の調査で分かった。
うち新潟など7教委は前回テストから向上した教科の明示などにとどめるが、
北海道など7教委は各教科の平均正答率も示すとしている。

 公表は序列化につながるとの懸念もある。
文科省は「30%が多いとも少ないとも言えないが、
公表する場合も過度な競争を招かないよう教委の工夫が見られる」
と一定の評価をしている。
下村博文文科相は同日の記者会見で「調査結果を一概に評価するのは困難だが、
各教委が積極的に保護者らに説明責任を果たすことが重要だ」と述べた。

 14教委のうち、域内の全市町村の成績を公表するのは5教委だけで、
それ以外は市町村教委の意向を踏まえるなどして一部にとどめる。

 公表しないのは兵庫県教委など31教委で、ほか2教委が検討中。
静岡県は川勝平太知事が教委の同意を得ずに独断で市町別の正答率を公表し、
文科省から違反と指摘されたが、県教委は「公表しない」と回答し、判断が分かれた。

 14年度から市町村教委は学校別の成績公表が可能となり、
都道府県教委も市町村教委の同意を得て市町村と学校の平均正答率などを
公表できるようになった。
公表する場合は改善策などを併せて示し、一覧表や順位付けは禁止している。
文科省によると、ルール違反の教委はない。

 学校別の成績を公表すると回答した都道府県教委は五つで、
いずれも正答率は出さず、学力向上の成果があった学校の状況を示す。
41教委は公表せず、1教委は検討中。

 市町村教委では、自ら市町村全体の状況を公表したのは58%に当たる1025。
学校別成績を公表するのは114で6%にとどまった。

 14年度の学力テストは4月に実施され、
文科省は都道府県別の正答率などを8月に公表した。
今回の調査は11月1日時点の状況について、
全都道府県教委と1756の市町村教委に実施。公表には予定も含まれる。

 【全国学力テストの成績公表問題】 
2007年度に始まった全国学力テストで、
文部科学省は過度な競争や序列化を招かないため、
都道府県教育委員会による市町村別・学校別の成績公表や、
市町村教委による学校別成績の公表を禁じてきた。
しかし、08年10月に橋下徹・大阪府知事(当時)が一部を除いて市町村別成績を開示。
その後も寺田典城・秋田県知事(当時)が市町村別成績を公表するなど従わない例が続いた。
12年には佐賀県武雄市教委が学校別成績を公表し、
大阪府泉佐野市長がルール変更を迫ったことを契機に、文科省は方針転換し、
14年度から公表できるようにした。
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