学テ:序列化、教育現場は慎重 学校別公表6%どまり

毎日新聞
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 文部科学省は9日、今年度の
全国学力・学習状況調査(全国学力テスト、小学6年=国語・算数、中学3年=国語・数学)で、
全市区町村1756教委のうち約6%の104教委が、
管内の全学校別結果を何らかの形で公表したと発表した。
このうち7割は全国平均との差異を文章で表現するなど
教科の平均正答率を出さずに分析結果を示した。
学校の序列化につながる恐れがある公表に自治体の慎重な姿勢が浮かんだ。

 同省が11月1日時点の状況を調べたところ、
全国の市区町村教委(政令市含む)のうち、
一部の学校の公表も含め何らかの学校別の結果を公表したのは114(6.5%)で、
内容(複数回答)は、平均正答率は出さず文章での結果分析など82自治体
▽教科の平均正答率を公表32自治体−−など。

 数値を公表せず文章で示すなどした自治体がある一方、
「ランキング」につながりかねない形で公表した自治体もあった。

 大阪府泉佐野市教委は、市内全学校別の教科の平均正答率を
ホームページ(HP)に掲載した。
全校の結果を見比べれば序列化は可能だ。
「平均正答率だけに焦点が当たるのは本意ではないが、
各校の現状や今後の見通しなど、実情を知ってもらうためには必要だ」と、
同市教委の担当者は説明する。

 同市立中の30代の男性教諭は「教員はみなやめてほしいと思っている」という。
保護者からは「他校と比べられてしまうのか」と問い合わせもあった。
教諭は「序列化は怖い。学校の実態を保護者らに知ってもらうにしても、
点数以外の伝え方がある」。
その上で「平均正答率の数値の開示は、
学校の課題を探るという学テ本来の目的を逸脱するのではないか」と指摘する。

 埼玉県東松山市も学校別の教科の平均正答率公表に踏み切った。
市教委の担当者は「学校ごとに強みと弱みがあり、それを比較できる。
地域住民に学校活動に協力してもらうには実態を知ってもらうことが不可欠」。
教委では「過度の競争につながらないか」といった意見も出たが、
最終的に「公表は必要」と一致したという。

 一方、岡山市教委は学テの結果を踏まえた
学校別の改善プランなどを公表したが、平均正答率は公表しなかった。
担当者はこう説明した。
「学校の平均正答率を出さないのは序列化を避けるため。
公表され、子供が『自分の学校はだめなんだ』と思ったり、
やる気をなくしたりしては意味がない」【坂口雄亮、三木陽介】
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