大震災津波:逃げ遅れ死亡した園児1人の遺族と町が和解へ

毎日新聞
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 東日本大震災の津波で亡くなった
宮城県山元(やまもと)町立東保育所の園児2人の遺族が、
町を相手取り計約8800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、
仙台高裁(中西茂裁判長)で園児1人の両親と町の和解が成立する見通しとなった。
町は園児の犠牲について哀悼の意を表明し、
和解金300万円を支払う。今月24日の和解協議で成立する見通し。

 遺族側弁護士が8日の和解協議後に明らかにした。
和解条項には町側が「今後、安全な保育に努めることを決意する」
との内容も含まれるという。
もう1人の園児の遺族は和解協議がまとまらなかった。
判決になる公算が大きいという。

 1審・仙台地裁判決(3月)によると、
保育所は地震発生後の2011年3月11日午後3時半ごろ、
町総務課長の指示で園内に待機。
同4時ごろ、職員が津波に気付き、園児らを車に乗せて避難したが、
園児3人が逃げ遅れて死亡した。

 遺族側は「町が避難を指示しなかったため被災した」と主張。
判決は「海から約1.5キロの保育所への津波到達は予見できなかった」として訴えを退け、
遺族側が控訴した。

 震災の津波を巡る訴訟では、宮城県石巻市の
私立幼稚園の犠牲園児遺族が園を訴えた訴訟でも
今月3日、仙台高裁で和解が成立している。【伊藤直孝】
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