津波で園児死亡 幼稚園と遺族が和解

NHK NEWS WEB
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東日本大震災で、幼稚園のバスに乗っていて津波に巻き込まれ死亡した
宮城県石巻市の園児の遺族が幼稚園側に損害賠償を求めた裁判は、
幼稚園側が園児の命を守る義務を果たしていなかった責任を認めて
遺族側に謝罪することなどを条件に和解しました。

3年前に起きた東日本大震災では、
石巻市にある日和幼稚園の送迎バスが津波にのまれ、
乗っていた園児5人が亡くなりました。
このうち4人の園児の遺族は、幼稚園を経営する
学校法人と当時の園長に対し、安全への配慮を怠ったなどとして
損害賠償を求める裁判を起こしました。
去年9月、1審の仙台地方裁判所は、
幼稚園側が大地震が発生した場合のマニュアルを職員に十分周知せず、
地震が起きたあとラジオなどで津波の情報を十分に収集しなかったなどと指摘し、
1億7000万円余りの支払いを命じました。
幼稚園側は津波は予測できなかったなどとして控訴していましたが
仙台高等裁判所は、幼稚園側が園児の命を守る義務を果たしていなかった責任や
防災の体制が十分にとれていなかったことを認め、
遺族側に謝罪するとした和解案を勧告していました。
遺族側の弁護団によりますと、3日の協議で
仙台高等裁判所の中西茂裁判長は「このような悲劇が2度と繰り返されることのないよう、
後世の防災対策に生かされなければならない」という意見を述べたということです。
このあと、双方が和解案を受け入れ、幼稚園側が責任を認めて、
6000万円の和解金を支払うとした和解が成立しました。
和解が成立したあと、遺族は記者会見を開き、
この中で、長女を亡くした佐藤美香さんは
「子どもたちの命が守られる世の中になってくれたらという願いを込めて
和解に応じる判断をしました。
幼稚園側には娘に対して心から謝罪してほしい」と話しました。
また、次女を亡くした佐々木めぐみさんは
「和解は苦渋の判断でした。まだ幼稚園側を許せるようになったわけではありませんが、
前を向いていけます」と話していました。
一方、幼稚園側は「それぞれが大きな悲しみと困難を乗り越え、
和解に至ったことは誠に貴いことだと思う。
勧告を厳粛に受け止め、静かに園児の冥福を祈りたい」というコメントを出しました。
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