鬼ごっこ:スポーツになって静かなブーム 競技人口18万

毎日新聞
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 子供のころ誰もが楽しんだ「鬼ごっこ」をもとにした「スポーツ鬼ごっこ」が
静かなブームを呼んでいる。
国際スポーツ鬼ごっこ連盟の羽崎貴雄理事長(31)に、基本を教えてもらった。

 スポーツ鬼ごっこはチーム戦。相手陣地にある宝を、
タッチされずに取ると1点獲得。
決められた時間内に多くの点をとった方が勝ちだ。
正式ルールは、1チーム7人になるが、集まった人数に応じて自由に変更できる。
「子供から高齢者までが楽しく遊べ、体力作りにもなります。
ルールは覚えやすく、専用の道具もいらないので気軽にできます」と羽崎さん。

 スポーツ鬼ごっこは、1980年代、
羽崎さんの父で城西国際大学の羽崎泰男教授(65)が子供の肥満対策として
鬼ごっこに着目したのがきっかけ。
スポーツとして楽しもうとルールを考案していき、
2010年に一般社団法人鬼ごっこ協会が設立された。

 単に鬼と逃げる人の2者に分かれるのではなく、
宝を守る形式にしたのは、理由がある。
鬼ごっこのルーツは平安時代の宮中行事で、
江戸時代には「ことろことろ」という形で庶民に親しまれていたという。
これは、鬼、親、子供の3者に分かれ、
鬼は親のガードをかいくぐって子に触るという遊び。
その伝統に準じたのだ。

 チーム戦なので、参加者同士の一体感が高まる。
体力だけでなく、相手の裏をかく作戦や、
連係プレーのための声掛けも必要。
こうした特徴から、町おこしのイベントや企業の運動会、大学のサークル、
婚活イベントなどで取り入れられ、競技人口は約18万人に上る。

 競技としても本格化し、全国大会を実施しているほか、今年から日本代表を選出。
東南アジアなどに普及に行き、16年には初の国際大会を開き、
20年東京五輪の公開競技採用も目指している。

 もちろん、家族や友人同士でも気軽に楽しめる。
普通のスポーツでは大人が子供より上手なのは当たり前だが、
スポーツ鬼ごっこの場合、すばしっこい子供の動きに
大人が翻弄(ほんろう)されることも。
「親子で体を動かすと楽しいうえに、会話が弾むし、
運動が苦手な子供でも熱中できます」と羽崎さんは説明する。【柴沼均】
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