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風邪やインフルエンザが流行する季節は、子供の中耳炎も増える。
耳の痛みや違和感を言葉にしにくい子供では治療が遅れることも多い。
特に、痛みや発熱などを伴わないタイプは気づかず放置してしまうこともあり、
難聴のリスクも出てくる。
保護者は子供の状態に注意を払い、
気になる点があれば早めに医療機関を受診するよう専門家は勧めている。
「耳をかいたり、耳の近くの髪を引っ張ったりするしぐさが増えたのがサインだった」。
「耳をかいたり、耳の近くの髪を引っ張ったりするしぐさが増えたのがサインだった」。
東京都内に住むＣ子さんは、2013年夏に当時１歳間近だった長男の異変に気づいた。
上の子の影響で覚えはじめが早かった言葉の発語が急に止まり、
上の子の影響で覚えはじめが早かった言葉の発語が急に止まり、
話さなくなったり、発音があいまいになったりしているのも気になっていた。
「耳に何か異変があるかもしれない」と思い、近くの耳鼻咽喉科を受診したところ、
「鼓膜がだいぶ白いですね」といわれた。
耳が痛くならないことが多い滲出性（しんしゅつせい）の
中耳炎の可能性が高いと診断された。
長男は今年７月、神尾記念病院（東京・千代田）で
長男は今年７月、神尾記念病院（東京・千代田）で
鼓膜に小さなチューブを入れる手術を受けた。
すぐに発語も復活し、反応も見違えるように改善した。
Ｃ子さんは「たまたま気づいたが、見落としてもおかしくなかった」と振り返る。
■訴えられない小児
同病院で小児を担当する松本恭子医師は
■訴えられない小児
同病院で小児を担当する松本恭子医師は
「乳児本人は聞こえが悪くなっているはずだが、そのことを訴えられない。
言葉の発語が遅い場合や反応が鈍いなと感じたら、
原因のひとつとして滲出性中耳炎を疑ってみたほうがよい」と指摘する。
中耳炎は、鼓膜の奥の部分である中耳に何らかの原因で炎症が生じる病気だ。
中耳炎は、鼓膜の奥の部分である中耳に何らかの原因で炎症が生じる病気だ。
中耳は耳管で口や鼻とつながっている。耳管は大人に比べて子供は平らで短い。
このため鼻やのどに入った細菌やウイルスが奥に到達し、中耳にも届きやすい。
大人より子供が発症しやすい病気の一つだ。
中耳炎はいくつかのタイプに分けられる。
中耳炎はいくつかのタイプに分けられる。
まず急性タイプだ。風邪を引いたときなどに起こりやすく、
肺炎球菌などの細菌やウイルスの感染によって中耳に急性の炎症が起き、
鼓膜が赤くはれ上がる。耳の痛みがあり、発熱や耳からウミが出ることもある。
急性中耳炎は１歳までに子供の約６割が、
急性中耳炎は１歳までに子供の約６割が、
３歳までに約８割がかかるといわれる。
半年以内に３回以上、１年以内に４回以上繰り返した場合、
特に反復性中耳炎と呼ばれる。さらに慢性の中耳炎になることもある。
もう一つが滲出性中耳炎だ。
もう一つが滲出性中耳炎だ。
中耳に滲出液と呼ぶ水がたまる。
量が多くなると鼓膜の動きが弱くなるなど聞こえが悪くなる。
３～６歳児を中心に多く、子供の難聴の原因として最もよくみられる。
このタイプの約半分は急性中耳炎の後に続いて起きる。
自治医科大学とちぎ子ども医療センターの伊藤真人教授は
「決して珍しい病気ではないが、耳の痛みなどの症状があまりないため、
見逃されるケースも多い」と指摘する。
■治療手順を一本化
いずれのタイプも抗菌薬を使ったり手術をしたりして治療する。
■治療手順を一本化
いずれのタイプも抗菌薬を使ったり手術をしたりして治療する。
滲出性中耳炎の治療については従来、国内に診療ガイドライン（指針）がなかった。
そこで、日本耳科学会と日本小児耳鼻咽喉科学会が作成し、
来春から医療現場で使われることになった。
医師により異なることもあった治療手順が、ガイドラインの活用で統一される見通しだ。
ガイドラインの特徴は「手術の時期を明確にしたことだ」（伊藤教授）。
ガイドラインの特徴は「手術の時期を明確にしたことだ」（伊藤教授）。
治療ではまず抗菌薬や消炎剤を使うなどし、
３カ月間経過観察して効果がないと判断したら手術を検討するという手順を示した。
手術は鼓膜に直径２～３ミリメートル程度の小さなチューブを挿入する方法が中心だ。
鼓膜を少し切開して入れたチューブの穴から常に空気の出入りができるようにする。
中耳を乾燥させて中耳の粘膜の炎症が改善するのを待つ。
手術は１泊程度入院して実施する例が多いが、
手術は１泊程度入院して実施する例が多いが、
入院しないで実施する医療機関もある。
その一つである神尾記念病院はクリニックなどから患者を紹介され、
手術することも多いという。
チューブを入れる効果は高く「麻酔からさめた途端に、
うるさいといって耳を塞ぐ子供も珍しくない」と松本医師は話す。
これまでより聞こえがかなり回復するからだという。
伊藤教授も「チューブを入れると７～８割は治る」と指摘する。
チューブには２～３年間つけておくタイプと、
チューブには２～３年間つけておくタイプと、
半年から１年で自然に外に抜け落ちるタイプがある。
日常生活に特に不便はなく、入浴も問題ない。
ただ、水泳では主治医と相談の上、耳栓などを使う場合もある。
乳幼児期に耳の聞こえが悪くなると言葉の発達などに影響が出る恐れもある。
乳幼児期に耳の聞こえが悪くなると言葉の発達などに影響が出る恐れもある。
伊藤教授は「中耳炎はだれでもなる病気。
子供の様子を注意深くみることが大切だ」と話す。
そして、異変を見つけたら早めの受診を呼びかけている。
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