子供のスポーツ障害防止へ医師らがNPO設立

「メディカルマネージャー」の必要性について語る大場さん
「メディカルマネージャー」の必要性について語る大場さん
読売新聞
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野球肘や疲労骨折など子供のスポーツ障害を防ごうと、大分市の整形外科医、大場俊二さん(61)が中心となり、全国組織のNPO法人「日本メディカルマネージャー協会」(事務局・東京)を設立した。
 指導者や保護者に講習を受けてもらい「メディカルマネージャー」に認定、けがの予防や再発防止、スムーズな競技復帰を図る。大場さんは「医師とスポーツ現場の橋渡し役になってほしい」としている。
 大場さんは同市明野北、「大場整形外科」の院長。約30年前から、過度な投げ込みで投球時に痛みが生じる野球肘や、走ったりボールを蹴ったりする時に痛みが出る腰の疲労骨折といったスポーツ障害を数多く治療してきた。指導者や親が、早期に練習を再開させたために症状が悪化し、競技を続けられなくなったケースが少なくなかったという。
 大場さんは「医療知識の不足や、目先の結果にこだわることで、子供の将来をつぶしてはいけない」と痛感。スポーツによるけがや故障を理解し、正しい治療や静養ができるよう管理する「メディカルマネージャー」を考案した。
 けがや故障の記録を管理し、3か月に1度、「手で押して痛みがあるか」「屈伸運動をして体に異常はないか」といった項目を確認する。治療が必要な場合、蓄積したデータを役立てる。
 大分県サッカー協会の医事委員長だった2003年に提唱し、10年には県内の15歳以下のクラブチームなどが参加するリーグ戦で、チームに1人置くことを義務化した。県内の医師、看護師、指導者らでつくる県スポーツ学会にも広がり、バレーボールやバドミントンの少年団などの約30人が活動している。
 協会は、こうした取り組みに共感した北海道や千葉県、沖縄県などのサッカー協会に関わる医師ら12人が発起人となり6月に設立。大場さんが理事長に就任した。全国各地で養成講習会や認定を行っていく予定だ。
 全国に広めるには、講習会の講師の確保やマネージャーの動機付けなど課題もある。大場さんは「子供たちがスポーツを続けられるよう、普及に取り組みたい」と意欲を語った。(谷口京子)
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