「園児詰め込み、質には逆効果」 待機児童緊急施策を保護者が採点

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東京新聞
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 「保育園落ちた」の匿名ブログをきっかけに政府が発表した待機児童対策の緊急施策を保護者らの団体が採点し、6日公表した。保育士の処遇改善は盛り込まれず、基準や規制の緩和で保育士の負担増や子どもの詰め込みにつながると指摘。財源を確保し、子どもを安心して通わせられる保育所を増やすよう求めた。
 採点したのは「保育園を考える親の会」(東京都豊島区、約四百人)の会員で、保育所を利用する父母ら有志三十一人。国の施策のうち十八項目について、保育所の入所者増を目指す「量」の面と、子どもが過ごす環境面の「質」の面から評価。効果が高い「二点」から悪影響が予想される「マイナス二点」まで五段階で点数を付けた。
 最も懸念されたのは、保育所の面積や保育士配置について、国の最低基準より高い独自の基準を持つ自治体に対し、引き下げを求める施策だ。各自治体は国の基準が低すぎるため、子ども一人当たりの床面積や、保育士一人が担当する子どもの数の基準を余裕を持たせて設定してきた。
 自治体の基準を下げれば、受け入れる子どもの数は増えるが、親の会は「子どもの詰め込みが進み、保育士の負担が増大して職場離れに拍車をかける」と指摘。「やってはいけない」施策として、点数でなく「不可」と評価した。
 また、自治体の認可を受けない認可外の「企業主導型保育事業」を積極的に展開する施策も盛り込まれたが、保育士や施設の基準は未定。質の低下が懸念される、などとした。
 保育所整備のための借地料の支援や小学校の空き教室利用の促進などは評価が高く、量、質とも二点が付いた。十八項目を不可を除いて単純に総合すると、量では十五点のプラスとなったが、逆に質ではマイナス六点となった。
 普光院(ふこういん)亜紀代表は「待機児童対策では小手先の規制緩和が重ねられてきたが、限界に来ている。職場に戻らない保育士が多いのはその証拠だ」と質の確保を求めている。採点結果は、ホームページ(「保育園を考える親の会」で検索)で公表している。
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