産科医不足でも、地元で出産を…支援体制を整備

マタニティ・妊娠中の女性のイラスト(カラー)


読売新聞
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深刻な産科医不足が続く中、北海道と北海道大医学部産婦人科などが運営する一般社団法人「WIND」が8日、地域の中核病院の出産医療体制を支援する協定を結んだ。医師の研修や勤務環境の改善で連携し、地元でお産ができる体制を整える。
 協定の対象は、浦河赤十字病院(浦河町)、倶知安厚生病院(倶知安町)、富良野協会病院(富良野市)、八雲総合病院(八雲町)、網走厚生病院(網走市)の5施設。いずれも常勤の産科医が0~2人で、道は地域で出産できる体制を維持するためには緊急的な支援が必要だと判断した。
 道と同法人は今後、地元市町村も交えた情報共有を行い、指導医を派遣して若手医師を対象に研修を充実させる。医師の事務業務を補う人材を確保するなど勤務環境の改善も図る。支援を継続することで、長期的には産科医の志望者も増やしたい考えだ。
 協定の対象の一つ、八雲総合病院は、2人の常勤医が365日出産に備えている。日本海側のせたな町や寿都町などにも巡回検診を行っており、出産数以上の負担がかかっているという。同病院は、協定について「(医師は)緊張感を持ち続けた状態で勤務しており、サポートしてもらえるのは心強い。地元で安心して出産し、子育てをできるよう取り組んでいきたい」としている。
 道内は産科医不足が深刻だ。179市町村のうち出産できる医療施設があるのは、2割以下の30市町。高度な医療施設を備えた30か所の「地域周産期母子医療センター」のうち、4か所は出産の取り扱いを休止している。医療機関で働く全医師に占める産科医の割合も、2004年の全国平均が4・1%なのに対し、道内平均は3・4%。14年も全国の3・7%に対し、道内は3・1%だった。
 「WIND」は北大産婦人科を母体として2008年に設立された。関連病院と連携し、地域の産科医確保と若手医師の育成に取り組んでいる。8日に道庁で行われた協定締結式で、道の村木一行・保健福祉部長は「妊産婦が身近な地域で産み育てられる体制を作ることは道の課題。ぜひ力を貸していただきたい」とあいさつ。同法人の桜木範明代表理事は「地域住民、現場の医師、みなが幸せになれるよう、関係機関が連携するのは重要だ」と応じた。
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