子どもの立場で保育充実を 世田谷のママたち、子育て環境語る

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東京新聞
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 認可保育所などに入れない待機児童数が毎年全国で1、2位を争う世田谷区で5日、子育て環境について語り合う集会「世田谷区は子育てしやすい街なのか?」が開かれた。区内の子育て世代でつくる「ママカラ☆プロジェクト」(中山瑞穂代表)が主催。大人の都合ではなく、子どもの立場で保育や子育て支援を考えようという意見が出た。 (柏崎智子)
 登壇したのは、日本総合研究所主任研究員の池本美香さん、保育ジャーナリストの猪熊弘子さんと、保坂展人区長。
 保坂区長は冒頭、四月の待機児童数が昨年より十六人増え、千百九十八人となったことを報告。民間に保育所用地の提供を呼びかけるなどの努力をする一方、保育の質の低下を招かないよう、区独自のガイドラインで事業者を見極めていることも説明した。
 区民でもある池本さんは、二人目の子どもが一時、認可保育所に入れず、認可外保育施設を探した経験から、認可外に行政のチェックがほとんど入っていない問題を挙げた。また、認可保育所では、事故などをおそれて新しい取り組みに消極的な傾向があることにも言及。海外と比較し、子育て世代の長時間労働が保育環境を悪化させているとし、働き方の見直しも必要だとした。
 猪熊さんは、保育所の数を増やすことに関心が向かい、子どもの成育にふさわしい保育かどうか質への関心が薄いとして、「愛情のない保育があふれている」と指摘。共働き家庭と専業主婦家庭を分断しない政策が大切とも主張した。
 会場からは「子どもを預ける時間が長くなり、保育の現場はいっそう大変だ」という保育士の意見や、主に在宅での子育て家庭が利用する一時預かりも予約が取れず「(人気アイドルの)嵐のチケット予約並み」と訴える声も上がった。
 同団体では意見をまとめ、区や国に提言する。
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