福岡育児院が残業代不払い 就業時間を把握せず 労基署が是正勧告

足の上でゆらゆらする子供と先生(カラー)


西日本新聞
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 家族による養育が困難な子どもたちを受け入れる児童養護施設の福岡育児院(福岡市東区)が職員に残業代の一部を支払っていなかったとして、福岡東労働基準監督署から労働基準法に基づく是正勧告を受けていたことが分かった。育児院は、職員の労働時間を把握できていなかったのに「残業はなし」などと事務処理していたといい、労基署の指導を受け改善した。
 育児院は同名の社会福祉法人(同)が運営し、児童相談所の依頼で幼児から高校生までを受け入れている。入所定員77人、子どものケアを担当する職員は約35人。
 労基署による是正勧告は3月23日付。育児院によると、多くの職員が残業を申請できなかったり、申請しても月4~5時間にとどめたりすることが慣例化していた。院側は「申請しづらい状況があったのは事実」と認め、複数の職員から直近1~3月の残業代を再申請させ、最長約23時間分を4月末に支払った。
 施設関係者によると、勤務状況を事後把握できた職員十数人の残業時間を試算したところ、今年1月分だけで最短50時間、最長110時間に上った。昨年秋には月220時間の職員もいたとの証言もある。夜までケアを続けたり、土日の行事に休み扱いで対応したりするサービス残業が慢性化していたとみられる。
 労基法では、不払い分は過去2年分請求できる。育児院の橋本博文施設長は「職員の申請があれば追加で支払う」としている。
 育児院は、改善策として(1)始業・終業時間を適切に把握(2)残業するときのルール明文化-を講じ、5月20日付で労基署に報告した。育児院を管轄する福岡市こども家庭課は「労働法制を守ることは施設運営の大前提。改善策が適切に行われているか確認を続けたい」としている。
=2016/06/07付 西日本新聞朝刊=
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