「企業主導型保育の質担保を」 親の会が政府に要望


福祉新聞WEB
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 保育園を考える親の会(普光院亜紀代表)は17日、政府が進める企業主導型保育事業について、質の担保を求める要望書を厚生労働省と内閣府に提出した。

 企業主導型保育事業は、会社が主に従業員の子どものためにつくる保育園。複数の会社が共同で設置することもでき、働き方に応じて土日や短時間など柔軟な保育サービスを提供できる。

 政府は、企業主導型保育を1億総活躍プランの目玉に掲げる。自治体の認可ではなく、公益財団法人児童育成協会の承認で設置でき、スピード感を重視。設置者への補助金は、認可保育所並みとしている。

 ただ、こうした状況について親の会は、管理の仕方や保育士の配置基準などを挙げ「課題が山積みだ」と指摘する。

 要望書では、認可保育所と異なり、質を管理する主体と責任の所在が不明確だと指摘。補助金を承認する段階で、専門家による審査を求めた。また保育士比率の向上なども要望した。

 会見には、認可外の企業内保育所で、今年3月に1歳の息子を亡くした母親も参加した。

 母親によると、事故を起こした保育所は施設長の現場経験が1年3カ月しかなく、スタッフもほとんどが20代。救命講習は数年に1度しかなかった。

 会見で母親は、そもそも認可保育園と比べ、認可外保育園の方が事故の発生率が数倍多いことなどを指摘。「認可外の保育園を増やそうとする政府の方針に黙っていられない。ビジネスチャンスとして多くの企業が保育園の運営に乗り出すかもしれないが、子どもの安全がないがしろにされる1億総活躍は誰も望んでいない」と涙ながらに語った。
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