幼保小連携で教員研修 相互視察で知見深める


教育新聞
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相模原市立南大野小学校(中里雅子校長、児童数627人)は、幼保小連携を考える教員研修会と意見交換会を7月27日に実施した。同校教員が連携する市内保育園5園を訪問し、保育活動を視察した。市内の幼稚園教諭、保育士と同校教員が顔を合わせて話し合う機会も設置。幼児教育・保育と学校教育それぞれの課題や知りたい点、連携に必要な視点などを協議し、相互理解を深めた。

同校教員が視察したのは、市立谷口、東林と私立さいわい、くぬぎ台、マミーの市内5つの保育園。幼保小が連携した円滑な接続教育の実現などを視野に、教員は保育の様子を直接見ながら、その様子や目的に理解を深めた。合わせて、市内14の幼稚園、保育園の教諭と保育士が同校を訪れ、教員と互いの活動報告や意見交換会も行った。

話し合いは10人ほどのグループごとに進めた。幼稚園、保育園の活動では、「給食室の調理場をガラス張りにして調理を子どもたちに見せる食育を実施」「3歳児から図形などを使った学習も提供」など、多様な実践が示された。課題としては、「人の話を長時間聞けない」「基礎体力の低下」などが挙がった。

これに対して同校教員は、入学直後の子どもたちの様子を報告。「自分について話をする力はあるが、人の話を聞けないケースが目立つ」「友達との関わりで、もう一言や少しの配慮が足りない様子もある」など、幼保時の課題が小学校まで引き継がれている状況がある点を共有していた。

幼保と小、それぞれの取り組みに関する質問では、「保護者からの要望対応と信頼構築のあり方」「幼保段階での学習活動の度合い」などが出た。

締めくくりの発表会では、「幼保段階では、生活経験を通じた学びが大事。例えば、子どもが駅を訪れ電車を好きになる中で車名を覚え、言葉や漢字の力を伸ばす様子も見られる」「保護者が学校や教育に抱く不安が大きく、その解消策へとつながる取り組みが重要」などと話した。「幼保段階から小学校の学びを意識し、時間を守る指導や食育などが大切にされている点も知った」との意見もあった。今後の幼保小連携のヒントとなっていた。

同校は、平成23年度から4年間、同市の幼小連携実践研究校として指定を受けた。近隣の幼稚園と連携、交流を深めながら、小一プロブレム解消を見据えた教育活動を充実させている。

同市では、今年度から全市内での幼保小連携教育を推進。第一ステップとして、全公立小学校と市内全幼稚園、保育園との協働体制を示す「連携表」を作成し、相互交流と理解のきっかけ作りを進めている。4年間の研究で、それぞれが話し合いながら、具体的な連携策や実践追究が深まるのを期待している。
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