<原発事故>拠点移し5年「青空保育」元気に


河北新報
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福島市のNPO法人「青空保育たけの子」が東京電力福島第1原発事故のため、山形県米沢市に活動場所を移し日帰り野外保育を始めてから10月で5年となった。この間、広い敷地を利用し、小学生らを受け入れる「冒険広場」を開設し、昨年9月には米沢市から認可外保育所の認定を受けた。代表で保育士の辺見妙子さん(55)は米沢で息長く活動を続けるため、福島の子ども以外の利用も広く呼び掛けていく方針だ。
 同市上新田地区の最上川のほとり。築100年近くの古民家を取り囲むように雑木林が生い茂り、1000坪以上ある土地が広がる。野遊びに最適な自然環境が、たけの子のサテライト保育の拠点となっている。
 月曜から金曜まで、この場所に通うのは2歳から6歳までの幼児8人。うち福島市からワゴン車で通うのは6人。残る2人は原発事故後、米沢市に避難してきた家庭の子どもたちで、放射線の不安を気にすることなく、元気いっぱい過ごしている。
 たけの子が発足したのは東日本大震災前の2009年4月。11年10月に米沢市内で活動を始め、昨年4月に現在地に拠点を移した。
 この5年間で20人ほどの子どもたちが巣立っていった。全員が福島ゆかりの子どもたちだ。
 週末と休日限定で14年5月から始めた冒険広場には、延べ900人の親子が訪れた。大半が福島の人たち。米沢市内には野外保育を取り入れる施設が少ないことから、たけの子は、地元の子どもたちにもっと利用してもらえるとみている。
 辺見代表はPR不足を補おうと、山形での各種集まりに参加し、施設の活動を紹介しながら人脈づくりに努めている。11月22日には、近所の農家たちと協力して初のマルシェを開く予定で、地域に開かれた施設づくりを目指す。
 辺見代表は「福島の子どもたちのために始めた施設だが、これからは米沢にしっかりと根付くようにしていきたい」と話している。

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