保育所の園庭に地域差 都心では3割未満


NHK NEWS WEB 様
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待機児童対策で保育所の建設が進む中、東京郊外や地方都市にある多くの認可保育所が「園庭」を持っている一方、東京都心の一部の自治体では「園庭」を持つ保育所の割合が3割に満たないなど地域による差が大きいことが民間団体の調査でわかりました。
乳幼児の保護者などで作る「保育園を考える親の会」は、全国の都市の保育環境を調べるため、ことし8月から9月にかけて東京23区と首都圏、それに全国の政令指定都市の合わせて100の自治体を対象に調査を行いました。

この中で、「園庭」を持つ認可保育所の割合を聞いたところ、回答のあった89の市と区の平均は78.1%でした。内訳を見ますと、東京・稲城市や神戸市、岡山市など100%の自治体が12、熊本市や浜松市、東京・小平市など80%以上の自治体が41と、東京郊外や地方都市にある多くの認可保育所が「園庭」を持っています。一方、東京・文京区は20.4%、港区は25%など東京都心の一部では3割に満たず、地域による差が大きいことがわかりました。
認可保育所についての国の基準では、2歳以上の子ども1人当たり3.3平方メートルの園庭が必要だとしていますが、近くの公園などを代わりにできるとしています。
調査を行った団体の普光院亜紀代表は「園庭がなくても晴れていれば外で遊ばせるなど、園外活動に対しても行政が指導を行い保育の質を確保してほしい」と話しています。園庭ない保育園では毎日散歩
25日は保育所から徒歩で20分ほどの公園に、住宅地や別の公園などを通り、あえて40分かけて向かいました。
保育所では歩いて行ける公園や広場、およそ30か所をリストアップし、子どもたちの発育状況やその日の体調を見ながら行き先を選び、毎日、1時間半ほどかけて散歩するということです。
「ゆらりんMOMOの家保育園」の浅野麻美園長は「園庭がないことは残念ですが、限られた環境の中でできることをしようと、散歩に重点を置いて保育をしています。よく歩いて、よく寝て、よく遊んで、生きる力を育むようにしたいと思っています」と話していました。
専門家「部屋の中でも運動を」
このうち平成21年に庭のある保育所とない保育所、それぞれに通う子ども合わせて60人余りについて調べたところ、園庭のある保育園では年長の男の子の歩数の平均が6328歩だったのに対し、園庭のない保育園では5072歩で、園庭のない保育園に通う子どものほうが1000歩程度少ないことがわかりました。
前橋教授は「子どもが保育所に通う時期は生涯使う土台となる体力が作られる時期だ。食事と運動と睡眠という3つの要素が大事だが、中でも日中、太陽が出ている時間に子どもが主役になって動く環境がなくなってくるというのは非常に危機だと思う」と指摘しています。そのうえで「保育所に園庭がなく外に出られなければ部屋の中でも構わないので、子どもたちがのびのびと自由に体を動かせる保育を心がけてほしい」と話しています。

東京・杉並区にある認証保育所「ゆらりんMOMOの家保育園」には、0歳から2歳までの子ども23人が通っています。施設はビルの2階にあり園庭はありません。このため保育所では毎日、子どもたちを散歩に連れていきます。
子どもの発育に詳しい早稲田大学人間科学学術院の前橋明教授は、子どもたちが保育所で生活する日中どのくらい歩き、活動できているのか調べるため、昭和60年から毎年、全国の保育所で子どもたちの歩数調査を行っています。
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