県内の介護事業所 保育施設の整備拡大


茨城新聞クロスアイ様
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県内の介護事業所で、事業所内に保育施設を整備する動きが広がりつつある。子育てをしながら働きやすい環境を整え、若手職員の確保につなげるのが狙いだ。県も施設整備と運営に対して助成金を交付する制度を整え、後押しする。

■近くで安心
特別養護老人ホームや訪問介護事業所が立ち並ぶ那珂市中里のナザレ園。園内の一角に4月、認可外保育所「やえナーサリースクール」が開設され、子どもたちの元気な笑い声が響く。

同保育所の定員は23人。現在の入所者は1〜3歳の3人で、いずれも同園職員の子どもや孫だ。

保育所に隣接する養護盲老人ホームで生活相談員として働く大部一城さん(39)は、次男の修道君(3)を預ける。

出勤と同時に預けることが多く、大部さんは「遊んでいる様子が見える場所にあるので、何をしているのか分かって安心」と話す。

同園は毎年10人ほどの新卒を採用。若手職員が増加傾向にあり、今後は育児に携わる職員も増えるとみられる。「現在は(入園者が)3人で赤字だが、将来を見据え、たとえ1人でもやっていきたい」。同園の菊池義理事長は力を込める。

■県の助成
介護労働安定センターが全国9005の介護事業所から回答を得た2015年度の介護労働実態調査結果によると、介護サービスの従業員が感じる従業員数の過不足感は「大いに不足」と「不足」「やや不足」で計61・3%に上る。労働条件の不満としても「人手が足りない」が50・9%を占める。

こうした現状を踏まえ、県は介護事業所内保育所の施設整備と運営の両面で助成金を交付し、働きやすい環境整備を支援する。

昨年度から実施している施設整備に対してはまだ実績がないものの、1130万円を上限に工事費など、310万円を上限に開設準備にかかる備品購入費などをそれぞれ助成する。

運営費への助成も本年度スタート。従業員の子ども1人当たり年45万円の助成金を交付する。既設も含め6施設への交付が決定し、ナザレ園内の保育所も助成を受ける。

規模や設備、運営に一定の基準がある国の助成制度に比べ、県は定員1人でも助成対象とするなど、細かい基準を設けていないのが特色だ。

県担当者は「国の対象からこぼれてしまう事業所をすくい上げ、介護就労につなげたい」としている。 (成田愛)

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