「難航」10年越しの移転着手 埼玉・草加


毎日新聞様
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 埼玉県草加市は、市内の松原団地内にある市立保育園の移転工事に10年越しで着手した。団地の再開発に伴い移転場所が見つからない“迷子”状態になり、場所が決まっても周辺住民の反対で園舎の設計を変えるなど難航した末だった。待機児童や建設反対を含めた住民とのトラブルが社会問題化する中、首都圏での保育園設置の難しさが改めて浮かんでいる。
     この保育園は「きたや保育園」(園児100人)。1967年、旧日本住宅公団(UR都市機構)による団地造成に伴い、市が公団から敷地985平方メートルを無償で借りて創設。49年余、団地内で園児を育ててきた。
     2000年代に入り、URが6000戸の団地再編を計画したのに伴い、市は団地内の公共施設の移転・統合をURと協議。05年以降、団地内の一角に文教施設を集め、同保育園も含める計画などを進めたが、団地再編のスケジュールと合わず、用地の広さの問題も生じ、頓挫してしまった。
     市は14年になって同保育園を団地外の市有地(グラウンドゴルフ場と駐車場)に移設する方針を決定。今年3月、木造2階建て園舎の建築費5億6386万円の予算について議会の承認を得た。
     ところが、それに先だつ昨年10月、周辺住民に「保育園建設」を手紙で伝えたところ「なぜここなのか。平穏が害されないか心配」と中止を求める要望書が出された。
     市は住民側と交渉し、今年3月末に(1)(設計にある)三角屋根を片屋根に変更して低くし(周辺への)日照を確保する(2)騒音対策として住宅がある側の窓を約4割減らして遮音ガラスにする(3)同じく騒音対策としてエアコン室外機を住宅がない側に設け、囲いもする--などの条件で合意。設計変更費448万円を他の予算から捻出したうえで工期延長を6月議会で可決、10月に着工した。
     園舎は来夏完成し、別の3保育園の耐震工事に伴う仮園舎として使用された後、きたや保育園が移るのは19年になる見込み。周辺住民の一人は「市はきちんと説明しながら移転を進めてほしい」と要望している。【武田良敬】

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