保育士の子供優先入所、人材確保へ復職支援


日本経済新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------


保育士の子供が保育所に優先的に入れる仕組みを導入する自治体が増えてきた。さいたま市や東京都杉並区は2017年度から始める方針で、導入済みの千葉市では利用が伸びている。待機児童の高止まりは保育士不足も一因になっている。保育士が子供を預けやすい環境を整えることにより、子育てなどで保育現場を離れた保育士の復職を促し、待機児童の解消につなげる。
 さいたま市は17年度の保育所利用申し込み分から、市内保育所での就労者や就労予定者の子供を入所選考過程で優遇する。保育士のほか、保育士と幼稚園教諭の資格を併せ持つ保育教諭の子供が対象。親の就労状況などに応じて入所の優先度を評価する際、こうした子供には大きく加点する。
 市は「子供を預けられなくて働けないという保育士は多い。加点により、子供を保育所にかなり入れやすくなる」(保育課)としている。
 杉並区は17年度入所から、選考過程で保育士の子供の優先順位を上げる制度を取り入れる。親が区内の認可保育所や、東京都独自の認証保育所などに勤めていることが条件。新制度は当面3年間の時限措置にする。東京都千代田区も17年度から、保育士の子供の入所優先順位を上げる。
 神奈川県藤沢市は17年度の入所希望者に対し、優遇制度を適用する。選考時の加点はきょうだいが同一保育所に入っている場合と同じにする。これにより、「優先順位がだいぶ高まる」(保育課)という。
 優先入所をすでに採用している自治体では保育士の職場復帰につながる成果も出始めた。15年度に導入した千葉市では16年度の利用者が82人となり、15年度に比べ29人増えた。
 東京都町田市は今春入所のための2次募集分から、市内に在住かつ在勤の保育士の子供の優先入所を始め、3人が活用した。担当者は「保育士が1人復職すれば、0歳児を3人預かれる。市民の理解は得られると考えている」と話す。17年度には市外在住で市内保育所で働く保育士の子供らにも対象を広げる方針だ。
------------------------------------------------------------------------------------------------