保育所12カ所の開設困難 「賃貸式」公募低調


毎日新聞様
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 名古屋市が来年4月に開設を目指していた保育所12カ所で、見通しが立たなくなったことが分かった。事業者が用地や施設を確保できなかったことが主な理由で、市は今年度の関連予算約5億1000万円を2017年度に繰り越す。市は3年連続で「待機児童ゼロ」を達成しているが、保育所整備計画の再考を迫られそうだ。
     市は来春、事業者が土地や施設を借りて整備する「賃貸式」で保育所23カ所(定員1380人分)を開設する計画で、今年度保育需要の高い82地域で事業者を公募。だが、応募は低調で、6月に決まったのは7カ所にとどまった。このため8~9月に再公募したが、それでも計11カ所(同660人分)にとどまり、12カ所(同720人分)の開設が難しくなった。
     従来の事業者が物件を取得する方式は、公募から保育所の開設まで約2年かかる。これに対し、賃貸式は開設まで1年以内と時間を大幅に短縮できる。市は保育所整備を促進するため、従来の方法に加えて11年度から賃貸式を導入。来春開設を予定していた2189人分のうち約6割に当たる1380人分を賃貸型で整備する計画だった。
     賃貸型の導入当初は既存施設の改装などで対応可能だったが、好条件の物件は年々減少。また、子育て世帯の増加が予想される地域では住宅建設が優先されるケースも多く、空き地の確保も難しくなっているという。一方、中川区で9月、地元住民の反対で計画が頓挫したケースもあり、地元との調整に時間をかけられないという課題も浮上した。
     市保育企画室は「賃貸方式のデメリットが見えてきた。公募期間を長くするなど条件を変えて早急に対応したい」と再検討を急ぐ方針だ。【三上剛輝】
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