園児が「教育勅語」唱える、大阪の幼稚園で戦前教育


DAIAMOND ONLINE様
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[東京 8日 ロイター] - 大阪にある塚本幼稚園は一見すると、普通の幼稚園に見える。だが同園のカリキュラムは戦前の日本を思い起こさせる。
 安倍昭恵首相夫人も訪問した塚本幼稚園幼児教育学園は、日本の伝統や文化に重点を置いたカリキュラムのなかで、3-5歳の幼児に愛国心を育むことを目的としている。
 制服を着た園児たちは毎朝、日本国旗の前で国歌を歌い、1890年に発布された「教育勅語」を復唱する。教育勅語は第2次世界大戦後、米軍を含む連合国軍総司令部(GHQ)によって廃止された。多くの人が、日本の軍国主義をあおる一助となった、服従と道徳心の源であると教育勅語を捉えていた。
 日本政府は1947年、戦後の平和憲法の自由主義的で民主主義的な価値を強化すべく、教育基本法を施行した。
 塚本幼稚園は15年前から教育勅語を導入。ただし、園職員はナショナリズムを刺激する意図はないとしている。
 「よく言われるナショナリズムと、私たちが教育のなかで進めようとしている、愛国主義や日本主義をもっと高らかに世界各国に広めていこうとすることは、全く違う」と、籠池泰典園長は話す。
 籠池氏は、安倍政権と関係が近いナショナリストの民間団体「日本会議」の大阪支部長でもある。
国を守る
 塚本幼稚園で園児たちが習うのは、和楽器や武道、将棋などだ。軍事基地へ「遠足」にも行く。
 籠池園長は、子どもたちが他国の脅威に対する自国防衛に備えるため、他の教育施設でも自分たちのカリキュラムを導入することを期待していると語る。
 日本に危機が及ぼうとするなら戦わねばならず、そのためには戦争放棄を規定する憲法第9条の改正が早急に必要だと、同園長は主張する。
 憲法改正は与党・自民党の主要政策課題の1つだ。安倍政権はすでに集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈を変更している。
 塚本幼稚園の案内パンフレットによると、来年には小学校も開校予定で、安倍首相夫人が名誉校長に就任するという。
 専門家からは、安倍首相夫人がこうした学校の運営に携わることに驚きを感じるとともに、国際社会における日本の地位の変化を示すものとの声も聞かれた。
 テンプル大学日本校のマイケル・チュチェック非常勤教授は、夫人が首相の代理として見られることがしばしばあると指摘。第1次安倍内閣では、学習指導要領に愛国心教育を盛り込むため、教育基本法が改正されている。
 「日本の防衛を日本自身に担わせることで、駐留米軍を削減もしくは撤退させたいというトランプ次期米大統領の思惑と、日本を強い国にしたいという安倍首相の思惑が一致したと多くの人は考えているようだ」とチュチェック非常勤教授は語る。
(Kwiyeon Ha記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)
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