段階的に昇給 離職対策 中堅向けに新役職を検討



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厚労省 17年4月から「副主任保育士」「専門リーダー」
 保育士の待遇改善に向け厚生労働省が検討している新たな昇給制度の概要が判明した。来年4月から「副主任保育士」「専門リーダー」の役職を中堅職員向けに新設し、月給に4万円を上乗せする。多くの保育士はベテランになるまで昇給幅が小さく、離職の一因にもなっていた。政府は、保育士不足対策として経験年数のある保育士の給与を月額4万円引き上げる方針を示していた。対象を中堅層として段階的に昇給できる仕組みをつくり、離職防止につなげる狙いだ。
厚労省は保育所などの経営に関する調査を実施している。近く公表予定の最新調査によると、保育士の平均月給は私立保育所が約26万円、公立は約29万円。「主任保育士」になるといずれも10万円以上アップし、私立で約37万円、公立では40万円を超える。
 しかし、主任の平均勤続年数は公・私立とも約20年。園長と主任のほかに役職がないことが多いため、20代後半~30代前半の保育士の給与が構造的に上がりにくく、保育士不足の一因と指摘されている。
 同省は、この層の給与を底上げするため、主任の前段階の「副主任保育士」(ライン職)と、保育に求められるさまざまな分野に通じた「専門リーダー」(スタッフ職)を新設。それぞれ7年以上の勤務経験に加え、乳幼児や障害児教育のほか、食育・アレルギー、保健衛生・安全対策、保護者支援などキャリアアップのための研修修了を要件に、月給に4万円を上乗せする。
 また、若手向けにも「職務分野別リーダー」を創設。勤務経験3年以上を対象に同様の研修を実施し、修了した分野のリーダーとなる。昇給幅は月5000円程度を想定している。
 厚労省は年末までに制度設計を詰めるが、1000億円程度の財源が必要とみられ、財務省と最終調整している。【阿部亮介】

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