小規模保育施設の3歳児以降受け入れ先確保に課題 総務省が勧告


NHK NEWS WEB 様
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保育所などの空きを待っている待機児童の現状について、総務省が保育施設を抽出して調査した結果、2歳児までを預かる「小規模保育施設」の3割近くが3歳以降の受け入れ先を確保できていないことがわかり、総務省は厚生労働省などに対し、市町村と連携して対策を徹底するよう勧告しました。
待機児童は共働き世帯が増える中、8年連続で全国で2万人を超え、国は去年4月、2歳児までを預かる「小規模保育施設」の整備を推進する新しい制度を施行し、来年度末までに「待機児童0」を目指しています。

待機児童の現状について、総務省行政評価局が去年、930余りの小規模保育施設を抽出して調べた結果、その3割近くで、設置の要件となっている3歳以降の受け入れ先の確保ができていないことがわかりました。
一方、確保できていると答えた施設に、受け入れ先までの距離を尋ねたところ、回答した160の施設のうちおよそ2割が「5キロ以上離れている」と答え、利用者が通いにくい実情があるということです。
この結果を受けて総務省は、厚生労働省などに対し、市町村と連携して対策を徹底するよう勧告しました。高市総務大臣は記者会見で、「待機児童の解消につながる子どもの預かり施設の整備をより実効性のあるものにしていただきたい」と述べました。塩崎厚労相「しっかり受け止めたい」
専門家「幼稚園の預かり時間延長も活用を」
そのうえで、「3歳からの受け入れ先を確保するために、まずは幼稚園と保育園の機能を兼ね備えた認定こども園の拡充を進めるべきだ。また地域によっては、幼稚園の定員に余裕のあるところもあり、自治体の支援があれば、幼稚園の預かり時間を延長するなどして受け入れる体制を構築できる。さらに、保育全般の知識を備えた職員をコンシェルジュとして自治体に配置し、利用者の相談にきめ細かく応じることで、より早く希望に添った預け先を確保できるようになるのではないか」と指摘しています。
幼稚園と併設へ 自治体も試行錯誤
区では去年11月以降、7つの小規模保育施設を開設し、2歳児までの子ども、およそ120人を受け入れましたが、このうち6つの施設では、3歳以降の受け入れ先の確保ができていない状況だということです。
このため区は来年度、すでにある幼稚園の敷地内に小規模保育施設を開設するなど、3歳以降の受け入れ先を増やす取り組みを始めるほか、民間の保育事業者にも新たな施設の設置を呼びかけることにしています。
江戸川区の担当者は、「子育て世代が移り住み、共働きを望む家庭も増え、保育所の需要の増加は予想を超えている。対応するのは難しいが、待機児童を少しでも削減できるよう取り組んでいきたい」と話しています。

総務省から勧告を受けたことについて、塩崎厚生労働大臣は閣議後の記者会見で、「待機児童、子育て支援については、『さらにしっかりやれ』ということですから、それはしっかり受け止めたい。待機児童の定義などは議論が進んでいるが、どういうことがよいことなのか、地方公共団体とよく議論して進めていきたい」と述べました。
子どもの保育問題に詳しい恵泉女学園大学の大日向雅美学長は、待機児童解消に向けた対策について、「大規模な保育園を設置することは、土地の確保が難しいことなどから現実的ではない。子育て世帯のニーズを把握し、小規模保育施設を効果的に設置していくことが求められている」と述べました。
東京・江戸川区は、ことし4月の時点で待機児童が397人と去年の同じ時期から50人増え、全国の自治体で5番目に多くなっています。
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