戸田市、待機児童解消へ 保育士に最大30万円給付


東京新聞様
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認可保育所に申し込んでも入所できない待機児童の解消に向け、県内で最多の待機児童を抱える戸田市が本腰を入れている。ただ、隣接する東京都の小池百合子知事が保育士給与の補助上乗せを表明するなど保育士確保は自治体間競争の様相も呈しており、ワースト返上は容易ではなさそうだ。 (冨江直樹)
 県が昨夏に発表した県内市町村別の待機児童数によると、戸田市の待機児童数は、昨年四月時点で前年から七十二人増え、百六人と初めて百人を突破した。
 荒川を挟んで東京都に隣接しており、ベッドタウンとして大型マンションの建設が相次ぎ、人口が急増しているためだ。二〇一五年国勢調査では、戸田市の人口は前回調査時より一万三千七十一人増の十三万六千百五十人。人口増加率は10・6%で県内トップだった。
 待機児童の急増に危機感を抱いた戸田市は昨年六月、待機児童緊急対策本部を設置。専任組織の待機児童緊急対策室も設け、来年度からの三カ年計画(アクションプラン)をまとめた。
 市は今後、市有地を活用するなどして民間認可保育所の開設を進め、受け入れ枠を現在の三千人から千二百人分拡大する方針だ。保育所の整備費や運営費として市独自の補助金制度も四月からスタートさせる。
 ただ、これだけ受け入れ枠を急拡大すると、保育士の確保も課題となる。
保育所の新設だけで保育士二百~二百五十人が新たに必要と見込む。そこで市は四月から三年間、新規採用の保育士に対し、引っ越し代や被服費、自己啓発の研修費など就職支援金を最大三十万円給付する制度を新設する予定だ。
 市待機児童緊急対策室の担当者は「限られた財源の中で保育士確保の目玉となるインパクトある制度を考えた」と話す。市によると、三十万円規模の給付金制度は全国的にも珍しいという。
 しかし、待機児童解消や保育士確保は、首都圏の自治体にとっては共通する課題だ。都は四月から保育士の給与補助を二万一千円上乗せして四万四千円とする方針だ。一方、埼玉県には補助制度はなく、さいたま市など一部の自治体が独自に実施しているだけ。保育事業者からは、東京への人材流出を懸念する声も出ている。
 県少子政策課の担当者は「地方の財政状況が厳しい中、自治体間競争は望ましくないと考えている」と保育分野での「都民ファースト」に警戒感を示した上で、「保育士の処遇改善は全国的な問題でもある。第一義的には国が対応すべきだ」と話している。
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