厚労省 巡回保育士導入へ 施設の重大事故防止策を強化


毎日新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------
 厚生労働省は2017年度から、保育施設での重大事故防止策を強化するため、経験豊かな保育士らが各施設を毎月訪れて助言する仕組みづくりを進める。自治体に新たに「巡回支援指導員」を配置し、認可外施設も含めて月1回以上巡回する。助言に法的強制力はないが、改善しない施設については、自治体が改善指導に乗り出す。
     内閣府によると、15年には全国の保育施設で14人の乳幼児が死亡。このうち認可外施設での死亡が10人と最も多い。6人は睡眠中で、乳幼児にうつぶせ寝をさせないという基本的な注意を怠っていた。認可保育所でも2人が死亡している。
     政府は待機児童解消を目指し、認可保育所などの保育サービスの拡大に取り組んでおり、15年11月には、13~17年度の拡充目標を当初の「40万人」分から「50万人」分に引き上げる方針を打ち出している。一方で、急速な施設整備によって保育内容の質の低下を懸念する声が上がっている。
     保育施設への指導監督の権限は自治体にあり、定期的に指導監査を行っている。しかし、人員不足のため十分に監査が実施できていないのが実情だ。
     そこで、厚労省は来年度から都道府県や市町村を財政支援し、巡回指導員の配置を促す。指導員には元保育園長など長年保育現場を経験した保育士を想定する。少なくとも月1回巡回し、昼寝や食事、水遊びなど重大事故が起こりやすいケースを中心に事故防止策を助言する。定期巡回によって問題のある施設に早期に対応し、重大事故防止につなげたい考えだ。
     また、保育士など保育施設の職員を対象に重大事故防止のための研修を実施した自治体に対する財政支援も行う。
     一連の事故防止強化策として、17年度予算案に30億円を計上した。【細川貴代】



    ------------------------------------------------------------------------------------------------