審判と保育士にトライ 自分育てたラグビーに恩返し 31歳、二足のわらじ試行錯誤


毎日新聞様
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平日は保育士、休日はトップリーグの審判--。奈良県天理市に住む元高校ラガーマンの立川誠道(まさみち)さん(31)は、2019年に日本で開催されるワールドカップを目指し、ピッチに立ち続けている。弟の直道さん(28)と理道(はるみち)さん(27)はいずれもトップリーガーで、理道さんは日本代表の共同主将も務めるラグビー兄弟だ。立川さんは「兄弟で共にピッチに立ち、自分を育ててくれるラグビーに恩返ししたい」と2年後に夢を膨らませている。【郡悠介】
     4人兄弟で幼い頃からいずれもラグビーをし、立川さんは同市の古豪・天理高校に進学。高校1年夏にオーストラリアに遠征し、大男を相手に毅然(きぜん)と笛を吹く17歳の少年審判を見て仰天した。3年生の時、東大阪市花園ラグビー場であった全国高校ラグビー大会に控え選手として出場。その後、審判を自分の歩む道と定めた。



     子供に接するのが好きで保育士を養成する専門学校へ。同時に審判の勉強にも励んだ。関西ラグビー協会のB級の審判資格を取得して06年に花園に主審として戻り、さらにトップリーグなどで笛を吹ける日本ラグビー協会のA1級を目指した。だが狭き門で、資格者は全国で10人余りしかいない。立川さんは仕事から帰宅すると、睡眠時間を削って試合の映像を分析した。
     審判講習の受講なども重ね、13年に満を持して資格試験に挑戦。だが失敗し、ショックが大きく「諦めようか」と思った。その時、妻みゆきさん(36)に「(当時A1級以上に許されていた)桜のマークをもらうんでしょう。やり切ってから諦めたら」と背中を押され、翌年取得を実現した。
     現在は天理市立南保育所で勤務しており、「この絵本を読んだら、この子はこう変わるかな」と試行錯誤し、子供とコミュニケーションを取りながら成長を促している。審判の際も反則しないよう選手に声掛けをし、時にはプレー継続を優先している。「保育と審判は通じるところがある」と感じている。
     選手として活躍する弟2人の存在も心の支えで、「負けていられない」と奮い立つ。夢である最高峰のA級審判は現在、国内でわずか6人。立川さんは「良い選手、コーチ、審判がそろってラグビーは盛り上がる。その力になりたい」と願っている。

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