人手不足の保育士、LINEで確保…学生に好評「相談しやすい」

立ってスマホを使う人のイラスト(女性会社員・笑顔)
YOMIURI ONLINE 様
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 来春に向けた保育士の採用活動がヤマ場を迎えている。保育事業者の人員計画が固まり、保育実習を終えた学生らが就職活動を本格化させる時期にあたるためで、事業者らは人手の確保に知恵を絞っている。

 今年4月時点の待機児童数は2万6000人を超えており、政府は潜在的な需要も多いとみて2020年度までに32万人分の保育定員拡大を目指す。ただ、都市部を中心に保育士不足は深刻化しており、9月の有効求人倍率は2・60倍、東京では5・78倍に上る。
 東京、千葉、埼玉で10施設を運営する「こころグループ」(東京都千代田区)は今季の採用から、利用する若者が多い無料通信アプリ「LINE」を学生との連絡手段の中心に据えた。気軽に応募してもらうのが狙いで、就職説明会で配布するチラシなどに登録用のQRコードを入れた。
 10月21日にはLINEでの申込者に限定した施設見学会を埼玉県で開催。男女の学生12人が園児と共に茶道や体操などを体験した。参加した同県越谷市の専門学校生(19)は「体験型の見学会が楽しかった。LINEは連絡や相談がしやすい。電話は緊張するし、迷惑メールが来るのでメールはあまり使わない」と話していた。グループの社会福祉法人の吉岡清司理事長は「LINEは、あくまでもきっかけ。生の現場や保育の中身を見てもらうことに意義がある」と語る。
 インターンシップ(就業体験)などに力を入れるのは、首都圏で約50施設を運営する「WITHグループ」(埼玉県川口市)だ。
 就職後、思っていた職場環境とのギャップから辞めてしまう保育士を減らそうと、3年ほど前から本格的に実施。1回1日程度の短期だが、原則的に時期や施設を限定せずに受け入れている。就職後の面談によるフォローや給与改善、職員の子供用に企業主導型保育所の開設にも取り組み、離職率は大幅に下がった。
 人事・採用担当は、東日本を中心に大学や短大など年間約200校を訪ね、進路指導担当者との関係づくりに励んでいるといい、三原伸介部長は「離職率の低さなどは学校訪問でのアピールポイントになる。辞める人が少なくなれば採用も楽になる」と説明する。
 就職情報会社「マイナビ」の平田憲太郎・保育士プロジェクト責任者は「今後の新規開園や現場の負担緩和を考えた増員に向け、事業者の採用意欲は高い。学生の利便性を考え、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの活用例が目立ってきている」と分析している。

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