35歳のママ「保育園落ちた、自分で開こう」

公園で遊ぶ親子のイラスト
読売オンライン様
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 待機児童の解消が課題となっている千葉県市川市に4月、保育園が新たにオープンする。

 NPO法人「ダイバーシティ工房」(市川市市川)が開設し、保育室のほかに広いコミュニティースペースを設けているのが特徴だ。同NPOが保育園を開くきっかけになったのは、不破牧子理事長(35)が長男の保育園の入園申し込みに落ちたことだった。

 不破さんが保育園開設を思い立ったのは1年ほど前。2016年9月に生まれた長男を認可保育園に預けて職場復帰しようと市に申請したものの、昨年2月末、選考に漏れたとの通知が届いた。認可外保育園を利用することにしたが、3歳の長女とは別の保育園で、送迎に時間がかかった。

 同じ頃に職員が相次いで結婚。職員の子育て支援施設にもなると考え、内閣府が主導する「企業主導型保育事業」の制度を利用して保育園を開くことを決めた。

 同制度に基づく保育園は認可外だが、国から補助金が得られる。職員や同NPOと契約した企業の従業員が利用可能なほか、定員の半数までは地域の子供を受け入れることができる。

 不破さんは近隣の保育園で研修を受け、運営方法や事故対応などを学んだ。6月には長男を認可保育園に入れることができ、多額の借金を背負うことへの不安感もあって「今ならやめられる」と悩んだ。しかし、行政が入園の必要度を審査する認可保育園と異なり、園が利用者と直接契約を交わすため、「パートや契約社員など、本当に困っている家庭の子供を優先的に受け入れられる」と思い直したという。

 JR市川駅から徒歩3分のビルの2階を借り、常勤保育士5人と看護師1人、非常勤の保育士ら20人を確保した。保育園の名称は「にじいろおうちえん」で、定員は0歳児6人、1~2歳児22人の計28人。保育料は0歳児が消耗品代込みで月6万円、1~2歳児が同5万5000円。保育時間は日曜日と祝日、年末年始を除く午前8時~午後7時で、午後7時半までの延長保育も可能だ。

 156平方メートルの保育園のうちコミュニティースペースは56平方メートルで、和室も設けた。親が子供と一緒にご飯を食べたり、親同士で交流会を開いたりする場所として利用してもらう予定だ。月に1度は「おやこ食堂」を開き、親子に低価格で食事を提供することも考えている。

 不破さんは「母子の孤立を防ぎ、地域とつながりを作れる場にもなれば」と期待している。問い合わせは同保育園(047・712・5022)。

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