認可保育「入れない」29% 1都3県35市区 都心なお厳しく

待機児童のイラスト
東京新聞様
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 四月に認可保育施設に入る子どもの大半が決まる一次選考の申し込み状況を、本紙が東京二十三区や政令指定都市など一都三県の三十五市区にアンケートしたところ、約三割が募集枠から漏れた状態であることが分かった。特に用地探しが難しい東京都心で厳しい状況が続いている。 (柏崎智子、原尚子)

 アンケートは、東京都、神奈川、埼玉、千葉県の自治体のうち、東京二十三区と政令市五市、昨年四月一日の待機児童数が二百人以上だった東京都の三鷹、府中、調布、町田、日野の各市、千葉県の習志野、市川両市が対象。

 集計によると、申込者数は全体で十二万九千八百十二人。ゼロ~五歳の年齢ごとに募集枠の数と比較した結果、29%にあたる三万七千三百八十四人が、入れない計算になった。自治体別では港区(55%)、千代田区(51%)、台東区(47%)の順で高く、東京二十三区は平均32%。募集枠から漏れた人数で見ると、横浜市(三千三百五十八人)が最多で、川崎市(三千三百四十三人)、さいたま市(二千五百六十三人)と、人口規模の大きい政令市が続いた。

 東京二十三区の状況を過去に実施した本紙アンケート調査と比較すると、募集枠超えの割合は二年前が42%、昨年が39%、今年は32%と徐々に改善。申込者は増え続けているが、施設整備が進んで募集枠も広がってきたためだ。

 昨年調査と比べ、大半の区の割合が下がるか、横ばいとなっている中、千代田区が14ポイント、港区が4ポイント悪化。千代田区の担当者は「施設の四月新規開所ができなかった。家賃相場が高く、事業者がなかなか集まらない」と説明した。

 三十五市区全体の結果を年齢別に見ると、募集枠超えの割合が最も高いのは二歳児で39%。自治体によって差が目立つのは三歳児。品川区(0・2%)、調布市(5%)など、ほぼ入れる自治体がある一方、千代田区(90%)、港区(84%)など、ほぼ門前払いの自治体も。46%の板橋区の担当者は「二歳までの低年齢児用の小規模保育を多く整備し、その卒園者は優先的に認可保育施設へ入所が決まるようにしている。その分、三歳で初めて申し込む子どもらが入りにくくなっている」と説明する。

 各自治体は一次選考で入所内定者の大半を決めた後、二次選考で募集枠を増やすなど三月末まで調整を続ける。

<調査の方法> 本紙は2013年から毎年この時期、自治体に申し込みをしても認可保育施設に入れない人数と割合をアンケート調査してきた。16年までは東京23区、17年から政令市5市と待機児童の多い自治体も対象にした。昨年までの調査では、募集の総枠と申し込みの総人数で差し引きしたが、今回は募集枠と申し込み人数の差を年齢ごとに集計。23区の推移は、同じ方法で16年と17年のデータを計算し直し、比較した。

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