名古屋の認可保育所でサービス残業 名城大助教ら調査、月平均13時間

過労のイラスト(女性)
中日新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------

 名古屋市内の認可保育所で働く保育士らを対象にした労働時間の実態調査で、賃金が支払われない「サービス残業」が月平均13時間に上ることが、名城大の蓑輪明子助教(女性労働論)らの調査で分かった。同市は4年連続で待機児童ゼロ(昨年4月1日時点)を達成しているが、現場は厳しい労働環境に置かれていることが浮き彫りになった。

 調査は昨年11月~今年2月、公立と私立の認可保育所の正規職員を対象に実施。約41%に当たる2660人が直近1カ月間の勤務時間や残業の内容などについて答えた。これほど大規模な調査は全国で初めてという。

 それによると、勤務開始前や休憩時間、勤務後を合わせた残業時間が、過労死ラインとされる月80時間を超えた職員は17人。平均は1カ月当たり16・6時間だった。

 そのうち、残業代が支払われたのは平均3・6時間で、13時間分がサービス残業だった。賃金に換算すると、2万~3万円分の労働に当たる。中には134時間のサービス残業をこなした職員もいた。残業の内容は打ち合わせや保護者への対応、保育の準備など。今回の分析では残業に含めなかったが、78%が自宅に仕事を持ち帰っていたことも分かった。

 現場は人手不足が続くが、調査では約30%が「仕事を続けるか迷う」「辞めたい」と回答した。「仕事に見合っていない」「残業代が支払われない」など、賃金に不満を感じている職員は66%に上った。

 蓑輪助教は「保育の質を保ちながら、待機児童を解消することが大事」と説明。「仕事量に応じて職員を増やせるようにするなど、保育士の待遇改善に結びつく制度を整えることが急務」と指摘している。

(中日新聞)

------------------------------------------------------------------------------------------------