SDエンタ 企業保育所、首都圏で拡大

保父さんと子供のイラスト
日本経済新聞様
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 遊戯施設運営のSDエンターテイメントは、主に従業員向けに開設する「企業主導型保育所」を首都圏で拡大する。現在運営している6施設がほぼ定員いっぱいになったことから、2018年度中に20施設に増やす。同社グループは首都圏で慢性的な人手不足に悩む介護事業などを展開している。従業員が子育てのしやすい環境を整えて、人材確保につなげる。

 企業主導型保育所は、待機児童の解消策として16年度に導入された。認可外の保育所だが、保育士の配置人数など一定の条件を満たせば、国から助成が受けられる。認可保育所より基準が緩いため、福利厚生をPRしたい企業が相次ぎ開設している。

 保育所の運営は、子会社でコールセンター事業を手掛けるITグループ(東京・新宿)と介護事業のフォーユー(東京・江東)が担う。

 ITグループは保育所「カメリアキッズ」を小田急線の沿線など4カ所で運営している。今後も主にJR山手線の西側エリアで新規開設を進め、18年度は新たにJR中央線の高円寺、東中野駅周辺などに6施設を開設する予定だ。フォーユーは東京都江東区で「チューリップ保育園」を2施設運営。5月には亀戸にも開設するなど、東部地域を中心に展開していく。

 保育所はいずれも最寄り駅から徒歩圏内で、従業員以外の需要も多く、ほぼ満員の状態が続く。幅広い事業を手掛けるグループ会社のネットワークを生かして、物件の空き情報を収集し、保育所の新規開設を急ぐ。

 保育士に長く勤めてもらうための工夫も凝らしている。有休消化率を100%にするほか、保育所の行事にアロマテラピーやネイルケアを取り入れて、保育所に通う子どもの母親ともコミュニケーションを取りやすくする。

 SDエンターテイメントは人手不足のために、介護施設を閉所したり、事業を譲渡したりしたことがある。コールセンターも人手の確保が難しく、女性従業員が子どもを預ける場所がないことを理由に離職するケースがあるという。仕事と子育てを両立させる環境を整えて離職を防ぐ。

 同社の吉住実社長は「事業を拡大するには人材の確保が不可欠。長く働いてもらうためにも環境を整えていきたい」と話す。首都圏での需要を見極めながら、道内でも保育所の開設を検討して、新たな事業の柱に育てたい考えだ。

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