「悪魔の封書」に混乱と怒り 保育料追加請求で保護者ら

認可保育所のイラスト
神戸新聞NEXT様
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 兵庫県三木市が2015年4月~17年8月、保育料を過少請求していた問題で、今月23日、対象と判明した434世帯に差額の納付依頼書を発送した。世帯平均約5万8千円、最高で約29万2千円に上り、全体の請求額は約2522万円。「納付期限5月末」として突然の知らせを受けた多くの保護者に混乱を招いている。(井川朋宏)

 15年4月に施行された子ども・子育て支援法に基づき、保育料の算定根拠が所得税額から住民税額へ変更。市民税所得割額の階層と年齢で決まる保育料に、同市は必要のない住宅取得控除や寄付金控除を反映し、一部を正規より低額の保育料階層に区分したという。

 対象の園児は、15年度361人、16年度428人、17年度167人の延べ956人。月額で最高1万5千円の差額が生じた。公表した昨年9月には全容が判明せず、市がおわびの文書を送ったのはこの時点で判明した一部世帯のみだった。

 同封の説明文書では簡単な経緯と共に「一括での納付が困難な場合は、分割納付の相談をお受けします」と記載し、月別の支払い明細や階層区分の訂正前後の表などを別添したのみ。納付依頼書が届いた後の26日、就学前教育・保育課には、請求理由や分割払いの要望、告知がなかったことへの疑問など65件の問い合わせがあったという。

 同課は「事前に説明が行き届かず、おわびする。個々の事情に応じて相談する」としている。

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 ■事前連絡なし、最高29万円… 市の対応に保護者ら怒りの声

 三木市が保育料を過少請求した問題の対応を巡り、対象世帯の保護者から怒りの声が相次いだ。こども園の保護者が入る無料通信アプリ「ライン」のグループ連絡では「悪魔の封書」と呼ばれ「重要な書類を一度で済ませるとは」「卒園式の日になぜ」などと書き込まれているという。

 2児を持つパートの母親(34)=同市末広=は約6万9千円の請求を受けた。発覚から半年経過するが「過少請求があったことは知らされていない。こども園を通じて事前に連絡するなど、説明責任を果たす時間はあったはず」と憤る。訂正前後の額が提示されているが「内容が分かりにくい」といい「具体的な理由を明確にするのが当然。残り2カ月で一括払いが前提となっているのもおかしい」と疑問を呈す。

 2人の子どもを市立保育所に通わせた製造業の男性(38)=同市緑が丘町西=には最高額となる約29万2千円の請求が届いた。「これまで何の連絡もなかった。急に払えと言われても困る」と語気を強める。「一度間違った市が提示した額では信用できない。本来は市が責任を負うもの。支払うべき法的根拠を示してほしい」と怒りが収まらない様子だ。

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