訪問型病児保育リスマイリー代表理事・山口真由美さん(44)

子供の発熱のイラスト
産経ニュース様
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 ■楽しくのびのび子育てを

 誰もが安心して子育てができる環境を-。子供が熱を出しても仕事を休めない…。そんな場合、自宅で保護者に代わって看病する「訪問型病児保育」サービスを提供するNPO「リスマイリー」を平成28年9月に立ち上げた。

 設立のきっかけは、自分自身の子育て経験から。結婚を機に大阪から宇都宮市に移住し、近くに頼れる親類や友人がおらず、困ったことがあったからだ。次男が小学6年の時、シングルマザーになった。熱を出したときでも、家に息子を残して仕事に行かなければならず、心配と申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 「もっと小さな子だったら本当に困るだろう」。子育てが一段落した今、かつての自分と同じ悩みを抱える若い親たちのため、自分にも何かできないかと考えた。

 宇都宮市内で病児保育ができるのは、病院や保育園に併設された「施設型」6カ所、定員31人。この現状を知り、子育て世代のニーズに合ったサービスに取り組んだ。

 インターネットを通じて資金を募る「クラウドファンディング」で、活動への支援を呼びかけたところ、3日で100万円の寄付が集まり、サービスの必要性を改めて実感した。さらに「とちぎんビジネスプランコンテスト」に応募し、特別賞を受賞。寄付と賞金を合わせて開業資金としてスタートした。

 利用は登録制で、事前に面接し、病歴や自宅の利用法などを決めた上で、看護師から研修を受けた保育スタッフが必要なときに訪問するシステム。宇都宮市周辺の市町からも依頼があり、認知度は少しずつ広がっている。昨年末、従業員のための福利厚生として利用する企業と契約した。

 訪問型の病児保育について全国のサービスを調べているとき、「地方都市での運営は無理」という声も聞いた。しかし、「子育ては期間限定。今、やらないと」と前向きだ。「助け合い支え合う、そんな社会で、楽しくのびのび子育てができる地域にしていければ」。事業に込められた思いを口にした。(松沢真美)

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