子連れ勤務OK、職場に「保育所」 京都や滋賀で広がる

â– 
京都新聞様
------------------------------------------------------------------------------------------------

人手不足が深刻化する中、子育て中の従業員が就労しやすい環境を整えようと、事業所内に保育所を設置する「企業主導型保育所」が広がっている。国から認可保育所並みの助成を得られるのが利点で、京都、滋賀でも活用事例が相次ぐ。一方で、設備などの条件が厳しいことが導入を検討する企業のネックになっており、待機児童解消の抜本策になるかどうかは不透明だ。

 洋菓子店「マールブランシュ」を展開するロマンライフ(京都市山科区)が昨年6月に滋賀県湖南市でリニューアルした工場「湖南スタジオ」の一角に、子どもたちのにぎやかな声が響く。約41平方メートルの部屋に設けられた事業所内保育所だ。従業員の母親が休憩中に立ち寄り、笑顔を見せる子もいた。

 保育所の運営は、法人向け保育事業を展開するタスク・フォース(大阪市)に委託している。利用は従業員の未就学児に限り、工場が稼働する日曜以外の午前8時半~午後7時半まで開所。現在は25人が登録している。

 同工場に勤める正社員とパート計154人のうち約8割は女性だ。パート社員で長女(2)を預ける中村佑有子さん(27)=栗東市=は、両親と同居中のために認可保育所の入所が難しかったといい、「工場内の保育所が仕事を選んだ決め手になった」と明かす。

 同社の広報グループは「人材確保だけでなく、誰にとっても安心して働ける環境作りにつながる」と話す。

 企業主導型保育所では、地域の子どもを受け入れる「地域枠」を設けることが可能だ。女性の活躍推進や人手不足解消だけでなく、待機児童解消の切り札として、全国で設置が進められる。制度を創設した2016年度から今年4月末までに、京都府では32施設、滋賀県では14施設が開設された。

 ただ、企業型の助成を得るには厳しい条件をクリアする必要がある。屋外遊技場や給食室の設置など設備面の規定をはじめ、保育士の有資格者数の規定や国と自治体による年2回の立ち入り調査の義務付けなど、認可保育所に近い基準が定められている。

 今年3月、保育所開設を目指す事業所を対象に府が開いたセミナーでは、参加企業から「市中心部は保育所のニーズは高いが、賃料が高額」などの悩みの声が上がった。用地確保を断念せざるを得なかったケースもあり、地域枠のミスマッチが課題となっている。

 2018年度の募集は、国から運営を委託される児童育成協会が6月15日から開始する。今後、いかに待機児童が深刻な地域と企業をマッチングできるか、官民の連携や情報共有が重要となりそうだ。

------------------------------------------------------------------------------------------------