真心は、きっと届く 保育士 上田仁衣菜さん(24)

幼稚園の散歩のイラスト
毎日新聞様
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上田仁衣菜(にいな)さん
 中学3年生の時だ。「人に喜んでもらえる仕事をしたい」と思い、保育士になろうと決めた。

 認可外保育所の「キッズスクウェア東京ドームホテル」(東京都文京区)で働き始めて3年目。待機児童問題が深刻な今、「本当に困っている人に必要なのは認可外ではないか」と希望した。

 通う子は0~1歳児が中心。寝ているだけだった赤ちゃんが、手をぎゅっと握り返したり、1歩を踏み出したり、「せんせい」と呼べるようになったり。できることが増える喜びを共有できるのは何よりの幸せだ。

 学ぶことも多い。1年目に預かった生後4カ月の赤ちゃんは、自分が抱くとぐずるのに、先輩だと泣きやんだ。「向いていないのかな」と悩みながら接するのはよくないと、笑顔で毎日声をかけた。半年たち、人見知りが始まると、他の保育士が世話をすると泣き、ずっと自分の後をついてくるようになった。「真心は、きっと届く」と教えてもらった。

 経験が浅く、うまくいかないこともある。落ち込んでいたある日、少し歩けるようになったばかりの子がそばに来て、励ましてくれた。「笑えていないのを察してくれたんだ」と涙が出そうになるのを、何とかこらえた。この子たちと一緒に、少しずつ成長しよう。そう誓った。【酒井雅浩】

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