財源の投入先には疑問の声も、「人づくり革命」生産力維持になお課題

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Sankei Biz様
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人生100年時代構想会議が取りまとめた基本構想では、急激な人口減と高齢化に直面する日本にとって、今後重要な鍵を握るのが「人づくり革命」だと掲げた。若者から高齢者まで全世代に積極的な人材投資を行い生産力の低迷を挽回しなければ、経済の好循環を継続することは困難だが、財源の投入先には疑問の声も上がる。

 「人生100年時代を見据えた経済社会システムの大改革に挑戦するのが人づくり革命だ。基本構想がその屋台骨となる」

 安倍晋三首相は13日の構想会議でこう述べ、基本構想の政策を確実に実行する強い決意を示した。

 安倍政権では、これまでも「1億総活躍」「働き方改革」などの目玉政策を打ち出してきたが、根底にあるのは人口問題への対応だ。国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(中位)によると、2065年の日本の人口は8808万人まで減少。65歳以上の高齢化率は38.4%まで膨らむ。

 生産力の落ち込みを回避するには対策が急務だが、昨年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の推定人数)が1.43と2年連続で低下するなど、対応は道半ばとなっている。

 基本構想はこうした現状にてこ入れするものとなる。幼児・高等教育の無償化は、これまで高齢者より後回しにされきた若年世代の負担軽減になるほか、リカレント教育(学び直し)の推進も専業主婦らの就業率向上が期待される。

 ただ、莫大(ばくだい)な財源を必要とする幼児教育無償化をめぐっては、与野党の国会議員から「待機児童対策や保育士の待遇改善に財源を充てるべきだ」との批判も噴出。基本構想の意義について国民の理解を十分に得ながら政策を進める必要がありそうだ。(桑原雄尚)

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