長野に自然保育認定制度=森で遊んで大きくなれ!-自治体ネットに15県

森のイラスト(背景素材)
時事通信社様
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森や里山、川など自然の中での体験活動を積極的に取り入れた保育・幼児教育が注目されている。面積の約8割を森林が占める長野県は、独自の認定制度を設け、保育所や幼稚園など152施設を認定して支援。子育て世代の移住者を呼び込む効果も期待され、普及を目指すネットワークに参加する自治体も増えている。

 「虫見つけた!」。JR長野駅から車で約30分の長野市郊外。標高約1000メートルの飯綱高原の森の中に子どもたちの元気な声が響く。駆け回ったり、沢を歩いたり、笛を吹いたり、と年少から年長までの園児が思い思いに遊ぶ。「いいづな学園こどもの森幼稚園」は自然体験を中心とした幼児教育に取り組む。

 「園庭」は約6200平方メートルの森。子どもたちは1日約4時間、自然の中で過ごす。森や野原、沢はあるが、遊具や柵はほとんどない。年間行事として田んぼで米作りに励み、雪の積もる冬は森でスキーを楽しむ。
 同幼稚園の宮崎温主任(34)は「自分で考えることをベースとし、子どもたちが自分で遊びを創造したり、仲間やスタッフと遊びを見いだしたりすることを大切にしている」と語る。園児は3~6歳の53人。園の理念に共感して入園させる保護者が多いほか、県外からの関心も高い。5月末には北海道議会の議員が視察に訪れた。
 長野県は2015年、「信州型自然保育認定制度」を創設。同園のように屋外での体験活動を週15時間以上行う施設を「特化型」、週5時間以上なら「普及型」として認定し、研修会や安全管理の専門家の派遣、認可外保育施設への人件費助成などで後押しする。
 子育て世代の関心も高く、移住につながるケースもある。特化型で、長野県軽井沢町の「森のようちえんぴっぴ」は今年入園した2歳児7人のうち5人が東京などからの移住者の子ども。県教育委員も務める中沢真弓代表(69)は「取り組みに共感して移住する人が多い。関心を持つ若い方が増えている」と話す。
 長野県は今年4月には、同様の認証制度のある鳥取、広島両県と共に、「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」の設立を呼び掛けた。自然保育を全国に普及させるため、ネットは自治体間の情報共有や国への要望などに当たる。
 6月15日時点で15県と北海道東川町、長野県の47市町村、鳥取県の4町、広島県の3市町が参加を表明。長野県の担当者は「予想より順調。幼児教育の重要性が認識されるようになり、各自治体が地域性を生かした教育の質向上に取り組んでいるのではないか」と分析している。(2018/06/21-04:40)

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