障害児療育で親の力に 磐田の井上さん、支援団体設立

特別支援学校のイラスト(私服)
静岡新聞様
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磐田市の障害児支援施設の施設長を務める井上正信さん(80)が、アイコンタクトや触れ合いに着目した独自の療育法を提唱し、自閉症を含めた障害児の子育て支援に注力している。半世紀の経験で得た知識や情報を発信する団体も新たに設立し、「子育てに悩んでいる親の力になりたい」と意気込む。
 井上さんは太平洋戦争に出征していたおじが精神障害を患ったことをきっかけに、精神障害の研究の道に進むことを決意。1964年、同市見付に子どもの言葉の発達を支援する施設を設立、77年に同市匂坂上に移転し、障害児通所施設「磐城学園(現・こども発達支援ホームいわしろ)」を開設した。
 井上さんによると、乳幼児の自閉傾向として「視線が合わない」「触れ合いを嫌がる」などがあるとされる。「0歳代から兆候は見られ、早い時期に認識できれば改善できる。乳児の反応を個性として見過ごさないで」と早期療育の重要性を説いてきた。
 「親の腕に抱かれ、見つめ合うことが人とコミュニケーションを図る力の基礎になる」とし、スマートフォンやタブレット端末の普及が急速に進む中で、動画や写真ではなく、子どもと目を合わせることの大切さを強調する。自身が独自に考案した抱っこの方法も保護者らに伝授し、対人関係の構築が苦手とされる自閉症の子どもの症状改善に効果を上げてきたという。
 5月末に新設した団体「アイコンタクト子育ての会」では、月2回程度の無料相談会を開くほか、井上さんが講演などで自身の経験を発信する予定。同市の龍の子幼稚園の座光寺明園長が会長を務める。
 初回の相談会は同幼稚園で29日午前10時から。事前申し込みが必要。問い合わせは同幼稚園<電0538(35)5144>へ。

 <メモ>自閉症 先天性の脳機能障害が原因とされる発達障害の一つ。厚生労働省などによると、対人関係の障害、言葉の発達の遅れ、パターン化した興味や活動などが特徴として挙げられる。根本的な原因の治療法は確立されていないが、早期の診断、療育で症状が改善できるとされている。国内の有病率は、症状が軽い人も含めると約100人に1人。発生頻度は男性が多く、女性の約4倍とされる。

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