児相開設へ金沢で学ぶ 東京の区職員2人が研修

説明を受けるカップル・夫婦のイラスト
中日新聞さま
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保護や面接 現場で実感
 児童相談所(児相)の開設準備を進めている東京・板橋区と荒川区から職員それぞれ一人が金沢市こども総合相談センターに派遣され、四月から一年間の研修を続けている。荒川区職員の柾木研吾さん(36)と板橋区職員の越沼杏子(こえぬまきょうこ)さん(27)。「金沢での経験を持ち帰り、これから児相を立ち上げるための財産に」との思いで懸命に研修業務に向かっている。(本安幸則)

 これまで都道府県と政令市などの事業とされていた児相は、児童福祉法の改正で二十三区でも設置できるようになった。金沢市は中核市として全国で初めて二〇〇六年度に児相を開設。荒川区では二〇年四月、板橋区では二一年度中の開設を目指し準備を進めており、二人は金沢のノウハウを学んでいる。

 柾木さんは〇七年度に荒川区に入庁。保育園で保育士としての経験が長くあり、今回の児相開設に関わることになった。金沢では、虐待などの理由で保護が必要になった子どもたちを一時的に保護する「一時保護所」の業務に当たる。この三カ月で「保育士として働いていた時には全然気付かなかったことが、子どもたちに起こっていることに驚いた」と柾木さん。「二十四時間三百六十五日子どもを受け入れることは業務として大変だが、助けを求める子どもや家庭がある。関係機関と連携しケアする大切さを痛感した」と話す。

 児童福祉司の越沼さんは板橋区で生活保護の業務に携わっていたが、センターでは各関係機関から寄せられる相談業務を担当。虐待事案の通告を受ければ、子どもの安全確認や保護者への面接、家庭訪問などの対応に当たる。「対応の仕方には決まったパターンがなく、百人子どもがいれば百通りの接し方がある。周囲とのコミュニケーションも大切で、そういった点を覚えていかないと」と話す。業務の一つ一つを書き留めたノートはもう四冊目になった。

 センターの今寺誠所長は「二人が持ち帰った経験が、それぞれの児相の基準になっていく。そうした大変さに押しつぶされないよう頑張ってほしい」と見守る。

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