摂食障害の経験基に、食の大切さ発信 鹿沼の川田さん

食事をしている女の子のイラスト
下野新聞さま
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【鹿沼】子どもたちに、食べる幸せを味わってほしい-。笹原田の管理栄養士川田容子(かわたようこ)さん(53)が、摂食障害を乗り越えた経験を基に食の大切さを発信する活動を県内で広げている。7月13、14日には川田さんが代表を務める「たんぽぽわたげの会」が、食育をテーマとした自主上映会を下沢の「くぐつ・あとりえ」で開催。川田さんは「食卓は栄養だけでなく、家族の愛情が得られる場。身をもって感じたからこそ、伝えていきたい」と思いを語る。

 川田さんは高校生の時、摂食障害を発症。家庭環境や勉強の悩みを打ち明けられず、「食べない」ことが自己表現の手段になった。「最初は軽い気持ちだったが、次第に食べることに恐怖を感じるようになった」。大学卒業後は栄養士として働いたが、経験がトラウマとして心に残っていた。

 転機は子育てだった。「子育てがうまくいかなくても、子どもたちは受け入れてくれた。失敗しても大丈夫と思えるようになると、自然に乗り越えられた」と振り返る。

 「食卓は自己肯定感を育てる力がある」と体感した川田さんは、自身の経験をブログで発信するように。直接伝えたいと思うようになり、実践女子大の非常勤講師などを務める傍ら、地域で親子を集め、食育セミナーやカウンセリングも行っている。

 上映会では、食育に力を入れる福岡市の高取保育園に密着したドキュメンタリー映画などを上映。終了後はおにぎりとみそ汁が振る舞われ、参加者と川田さんが食事を楽しみながら子育てについて意見を交わした。

 上映会に参加した千渡、保育士高村直美(たかむらなおみ)さん(42)は「小さい頃、食を通して子どもの心身が育つと改めて感じた」と話していた。川田さんは今後、本の執筆や講演などの活動にも力を入れるという。

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