<丸森町長選>11日告示 「子育て日本一」へ正念場 送迎に課題、地域懸念

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 任期満了に伴う宮城県丸森町長選が11日、告示される。東京電力福島第1原発事故で発生した放射能汚染物質による風評被害などへの対処に一定のめどが立ち、人口減少と少子高齢化が最重要課題となっている。踏み込んだ対策を取れるか、かじ取り役の手腕が問われる。(角田支局・会田正宣)

 町舘矢間地区で、来春開設される認定こども園「丸森ひまわりこども園」の建設が進む。町役場の隣に立つ丸森たんぽぽこども園に次いで2園目で、町社会福祉協議会が運営、町が建設を補助する。
 こども園はクラブ活動などの評判が良く「子育て日本一のまちづくり」を掲げる町の核施設だ。
 こども園開設に合わせ、町は舘矢間、金山の両保育所を同時に廃止する。児童館が運営を受託する大張は2021年度まで存続し、筆甫は民間がカバーする。
 問題は送迎だ。町は(1)利用者によって送迎時間が一定しない(2)0~2歳児はバスに乗せるのが困難-などとして、送迎バスを導入しない予定だ。
 町の方針に対し、大張地区に住む2児の母親(35)は「地元の施設がなくなると、舘矢間まで車で20分かかり、送り迎えは大変。山間部は過疎化がいっそう進んでしまう」と指摘する。
 町は13年度から第2子以降の保育料を無料にした。児童1人3万円の就学祝い金も設け、第3子以降の支給に半額を補助する県事業に上乗せする形だ。
 町中心部に住む2児の母親(39)は保育料支援に感謝しつつ「伸び伸びした丸森の良さを生かしながら、教育水準を上げてほしい。子どもの遊び場整備にも目を向けてほしい」と訴える。
 町の人口減少率は12~17年度で9.3%と歯止めがかからない。財政運営も厳しさを増す。17年度決算の歳入は町税15.0%に対し、地方交付税42.4%。町債発行残高は特別会計を含め約127億円(18年度末見込み)に上る。
 町幹部は「税収は減る一方、行政需要は増える。何もしなければ座して死を待つだけなのは分かるが、人口減の対策にも金はかかる。財布のやりくりは大変」と漏らす。

 町長選の投開票日は16日。現時点で立候補を表明したのは、3選を目指す無所属現職の保科郷雄氏(68)のみ。1日現在の有権者は1万1983人。

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