勤労統計不正の余波 保育所の「落選希望」確認、厚労省通知出せず

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育児休業延長に必要な書類を得るため「落選希望」の保育所の入所申し込みが増えている問題で、保護者の意向を踏まえた新たな対応を認める通知を厚生労働省が自治体に出す手続きが遅れている。本来、1月中に通知するはずだったが、統計不正調査への対応に省内の職員がかき集められ、業務に当たるべき職員が減ったためだ。一方、「これでは対応できない」と自治体の間で困惑が広がっている。

自治体が行う認可保育所の入所選考について厚労省は昨年末、保護者が育休延長を望んでいる場合は入所の優先順位を下げることを認める対応策を決めた。育児・介護休業法に基づく育休は「子どもが1歳になるまで」が原則だが、保育所に入れなかった場合は2歳まで延長できるため、「落選」を希望しながら形式的に申し込む保護者が増加。入所選考に支障が生じているとして地方自治体が国に制度の改正を求め、厚労省は1月中に新たな入所選考方法を通知する予定だった。

しかし、昨年末に「毎月勤労統計」の不正調査問題が発覚。厚労省は統計問題への対応を最優先に、幹部・若手を問わず職員をかき集めるなど「ドタバタの対応」(人事課)に追われており、職員を吸い上げられた部署は手薄になっているという。所管する職業生活両立課の担当者は「通知が遅れているのは事実で、いつ出せるか見通しが立たない」と話す。

一方、自治体からは「通知が届かないと対応できない」と困惑の声が上がる。新たな対応策に基づく自治体の保育所入所選考は早くて2020年度からとみられるが、自治体が選考方法を決めるのは今年の夏から秋。通知が大幅に遅れれば、実現が先送りになる可能性もある。【横田愛】


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