元・保育士のマンガ、SNSで反響

漫画を描く人のイラスト(男性)
朝日新聞デジタルさま
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保育士として働いていた経験をもとに描いたマンガ「保育士実録 でこ先生」がSNSで注目を集めている。元保育士のでこぽん吾郎さんが昨年末からTwitterに投稿しているマンガで、節分の日にちなんでアップされた「鬼電話」という話では、悪さをした園児の行いを電話で鬼に報告するという内容で、怖がる園児の反応に「鬼でただ怯えさせるだけではなく、考えさせる言葉をかけるのが素敵」「保護者としても、対応の勉強になった」などの反響が。作者のでこぽん吾郎さんに「保育士実録 でこ先生」のエピソードについて話を聞いた。

【画像】悪さしたら「お山の鬼さんに電話します…」保育士実録 でこ先生”鬼電話”エピソード

■「プリキュアはこの世に存在しない!」園児とのほのぼのエピソードに癒される

でこぽん吾郎さんは女性ではあるが、マンガでは体格の良い男性の保育士“でこ先生”として仮の姿で登場している。「女の子には秘密だよ?」と前置きしたうえで「プリキュアはこの世に存在しない!」と言い切る男児や、「先生(せんせい)」という言葉を「しぇんしぇーだって!」「違う、てんてーだもん!」と言い合いをする女児など、思わずクスっと笑ってしまう園児たちとのエピソードがふんだんに語られている。でこぽん吾郎さんはこれらのお話を、保育士だった当時の経験談を思い出しながら、日々マンガに描き起こしているのだという。

――保育士になったきっかけは?

【でこぽん吾郎さん】子どもが大好きで、ずっと保育士さんに憧れていたからです。

――マンガやイラストはいつ頃から描き始めたものなのですか?

【でこぽん吾郎さん】2018年12月にTwitterをはじめたので、その頃から描き始めました。現在は保育士をやめて違う仕事をしていますが、マンガやイラストは時間が空いた時に描いています。ネタを見つけてくるというよりは、保育士をしていたころのことを“思い出す”。過去のエピソードを振り返りながらマンガにしています。

■「うちの子なんて…」謙遜のつもりでも、子どもにとっては深い闇に

ほのぼのとした園児との日常エピソードが投稿される一方で、大人として、保護者として、考えさせられるエピソードも。「第6話 ある姉妹の話」では、姉妹で撮影した七五三の写真を保育園に持ってきて、姉だけを「うちのお姉ちゃんかわいいでしょ」と褒める保護者が登場。「妹もかわいいですよ」という保育士でこ先生に「いえいえ、この子は不細工ですから。お姉ちゃんはモデルみたいって思うんですけどね…この子は父親に似ちゃってぇ…」と、本人がいる前でそんな言葉を口にする。

読んでいて何ともつらいエピソードに、読者からは「謙遜だったとしても、言われている側からしたら『あぁ、嫌われているんだな』としか思えないですからねぇ」「子どもの頃に同じようなことを言われていたので涙が出た。娘には同じ思いをさせたくないし、どんな容姿だったとしても自分の子はかわいい」「これは悲しいです…子どもなりに分かりますよねぇ」など、でこぽん吾郎さんのTwitterにはたくさんの感想が集まった。

――なぜ「第6話 ある姉妹の話」をマンガ化しようと思ったのですか?

【でこぽん吾郎さん】子どもの頃に言われた大人からの“何気ない一言”で傷ついたまま大人になった人は多いと思います。読んでくれた方が、自分自身を振り返るきっかけになればと思い、マンガに描き起こしました。

――反響やコメントも、大きかったですね。

【でこぽん吾郎さん】「自分も同じ体験をした」という意見がたくさんあり、やはり大人になっても忘れられない傷になっているんだなとあらためて感じましたね。

――これからどのようなマンガを描いていきたいですか?

【でこぽん吾郎さん】育児に疲れた保護者の方々、現在保育士をされている方々、保育士を目指している方々を中心に、読んでくださった方を元気づけていけるようなマンガを作っていきたいと思っています。

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