虐待相談:児相の子供安全確認 48時間以内にカベ

毎日新聞
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 全国207カ所の児童相談所(児相)が昨年4〜5月に受理した
虐待相談(通告)を巡り、結果的に虐待が認められたり疑われたりした
7434人のうち約8%の子供の安全確認が努力義務とされる
48時間以内に実施できていなかったことが
全国児童相談所長会(東京)の調べでわかった。
「48時間ルール」の運用状況の詳細が明らかになるのは初めて。
児相の調査権に明確な規定がないことなどが背景にあるとみられ、
厚生労働省は初動対応の迅速化に向け、
児童虐待防止法や児童福祉法を見直す検討に入った。

 厚労省の指針は、児相や市町村が通告を受けてから
48時間以内に安全確認するのを努力義務としている。

 調査は各児相が昨年4〜5月に受けた虐待通報1万1257人について回答。
このうち2972人は虐待がなかったが、7418人は虐待があると判断された。
また、通報後の状況が不明で虐待が疑われるケースも16人いた。

 また、両者を合わせた7434人中、6799人は48時間以内に安全確認できたが、
576人についてはできなかった。
この中には頭部外傷や栄養不良など「生命の危機」がある子が5人おり
性的虐待や打撲傷を含む「重度」の虐待を受けた子も19人含まれていたことも判明した。

 48時間内に安全確認ができなかった理由(複数回答)は、
「(子供の居場所の特定など)調査に時間がかかった」が最多で全体の20.7%。
「子が特定できなかったり、所在が分からなかった」14.9%
▽「訪問したが不在」11.3%▽「訪問を拒否された」3.8%−−などが続いた。

 また、48時間以内に安全が確認できなかった576人については、
昨年9月末までに8割(445人)は確認できたが、92人はできなかったという。

 初動となる安全確認を巡っては、
個人情報保護を理由に学校や病院から断られる場合もあり、
現場からは「法律に調査権と回答義務を明記すべきだ」(都内の児相所長)との指摘に加え、
児童福祉司1人が100ケース以上を持つ児相もあることから
「人員不足で限界」との声も根強い。

 全国児童相談所長会会長の桜山豊夫東京都児童相談センター所長は
「初動で安全が確認できない中に生命の危機がある子がいるのは深刻だが、
場所のあいまいな『泣き声だけの通報』も多く、難しさもある」と指摘している。【野倉恵】
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