仙台市が「保育サービス相談員」導入1年

河北新報
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 待機児童の多い仙台市が「保育サービス相談員」を導入して1年余りがたった。
多様な保育ニーズに適した情報を届け、保護者の不安を取り除こうと、
5人の相談員が待機児童解消の最前線に立つ。
来年4月に始まる子ども子育て支援新制度を控え、相談員の業務内容は増えている。

<外国人も頼りに>
 青葉区の保育所で10月末、母親向けの出張相談会が開かれた。
青葉区担当の相談員鷺(さぎ)淑子さん(47)に、
1歳の長男を育てる休職中の30代女性が尋ねた。
「新制度では保育所に預けられる基準が変わると聞いたのですが…」
 不安げな女性に、鷺さんは資料を示して制度をかみ砕いて説明した。
 着任以来、区役所3階の家庭健康課を拠点に相談業務に当たる。
10月末までに1661件の相談を受けた。
7月には、保育所などへの出張相談を始めた。
 内容は入所申し込みのほか、書類の書き方、
幼稚園や急病時の医療機関の紹介など多岐にわたる。
青葉区は地域柄か、外国人の保育需要も高い。
 鷺さん自身も2人の子どもが待機児童だった経験を持つ。
「自分だけで集められる情報には限界があった」。経験を糧に母親たちと向き合う。
 転勤族や時短勤務、父子家庭…。
就労状況や保育の必要度は家庭ごとに異なり、保護者の持つ情報はさまざま。
家庭的保育(保育ママ)も紹介し、託児サービスのフル活用を図ってきた。

<「橋渡し役」期待>
 仙台市の4月現在の待機児童は570人。
東日本大震災後の人口増も背景に2年連続で増加した。
特に0歳児と1歳児は需要増に保育サービスの供給が追い付かない。
鷺さんも、保護者の期待に沿えないケースがあり
「母親の気持ちが分かるだけにとても心苦しい」と悩む。
 市保育課の熊谷祐二郎課長は「現状は供給量が絶対的に不足しているが、
相談員が他の子育て支援施設との『横串』となることで、
空き施設の活用など徐々に市民の利便性は高まるはず」と期待する。
 新制度は、認定こども園や多様な保育サービスを普及させることで、
待機児童数を減らすのが狙いだ。
10日には新制度に基づく市内の保育所の入所申し込みが始まった。
小規模保育施設などとの調整業務も各区役所が担う。
 慌ただしさが増す中、鷺さんは
「母親の不安を少しでも減らせるようできる限りのことをしたい」と思いを強める。

[保育サービス相談員]
仙台市が昨年10月、待機児童解消に貢献した
横浜市の「保育コンシェルジュ」を参考に導入した。
各区に1人ずつ、保育士の資格や子育て経験のある嘱託相談員を配置。
保育施設の空き状況など子育て情報を提供する。
ことし10月末までに各区役所で受けた相談件数は計6217件。
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